透明から半透明まで明青色から菫青色の宝石で、斜方晶系、屈折率1.542-1.551、複屈折率0.009、多色性が強い。スリランカ、ミャンマー(旧ビルマ)、タンザニアなどで産する。ウォーター・サファイアなる誤称がある。
クリソベリルの変種で、太陽光や蛍光灯の光では青緑色ないし草緑色を示し、白熱灯の光では赤紫色の変色性を示す。この変色性をアレキサンドライト効果と呼び、色変わりの明確なアレキサンドライトは非常に高価である。ロシア、スリランカ、タンザニア、ブラジルなどで産出する。クリソベリル・アレキサンドライトの他に、サファイアやガーネットなどでもアレキサンドライト効果を示す宝石がある。また最近では、合成アレキサンドライトも市場にでまわっている。アレキサンドライト効果とキャッツアイ効果を有するものもある。
透明から不透明の褐色味を帯びた緑色の宝石。多色性が強い宝石である種の色調のアンダリュサイトはトパーズと外観が似ている。斜方晶系、屈折率1.632-1.643。比重3.16~3.20。主な産地はブラジル、スリランカなど。
天然ガラスの一種の黒曜石のことで、半透明から不透明で黒色、灰色、褐色、黄色の色調を帯びている。飾り石として用いられるが宝石としてはほとんど用いられない。非晶質で屈折率1.48~1.51、比重2.30~2.60。
ガーネットとは単一の宝石ではなく、幾つかの成分は異なるが構造が類似(ガーネット構造)した鉱物グループの総称である。アルマンディン・ガーネットは暗赤色または紫赤色の色調をもつ。ロードライト・ガーネットは紫赤色の色調をもつ宝石で、アルマンディン・ガーネットとパイロープ・ガーネットの中間の組成をもつ。パイロープ・ガーネットは透明度の優れた澄んだ赤色の色調をもつ宝石である。デマントイド・ガーネットは、透明で輝く緑色の色調の宝石でホース・テールと呼ばれる包有物を含む魅力的な宝石である。スペサルティン・ガーネットはオレンジ色の色調をもつ宝石である。グロッシュラー・ガーネットは、潜晶質構造をもつ緑色またはピンク色の塊状変種と、透明な結晶構造をもつオレンジ色、黄色、緑色、褐色などの色調をもつものと2つに分類される。
石英のうち潜晶質構造をもつもので、宝石としてはあまり高価なものはなく印材とか彫刻などに用いられる。
通常2つないしそれ以上の色層をもつ材料の上層部分に、デザインを浮かび上がらせるように彫刻を施したもので、ストーン・カメオ(カルセドニーなどを利用)、シェル・カメオ、コーラル・カメオ(さんごを利用)などがある。イタリアはカメオの生産地として有名である。インタリオはカメオと逆に、意匠や文様などが材料に凹状に彫刻されたもの。
クリソベリルは緑黄色ないし青緑色の宝石で、この宝石自体はあまり高価ではないが変色効果をもつアレキサンドライトやシャトヤンシー効果をもつキャッツアイは、宝石として高く評価されている。斜方晶系、成分はBeAl2O4、屈折率は1.746-1.755、比重は3.70~3.73、硬度は8.5。主な産地は旧ソ連、スリランカ、ブラジル、タンザニアである。
蛇紋石。宝石としてよりは彫刻品や飾り石として使用される。主に緑色のサーペンティンがひすいの代用品として使われる。単斜晶系、屈折率1.56-1.57、比重2.50~2.65、硬度2.5~4。
さんごをつくるのは八放さんごと呼ばれる生物(コーラル・ポリブ)で、このコーラル・ポリブの骨格の集合がさんごとなる。宝石用としては赤、ピンク、白さんごなどがある。主成分は炭酸カルシウムなので酸類に弱く、軟らかいので傷つきやすい。さんごの表面をルーペでみると木輪構造と呼ばれる放射状の模様が観察される。貝を染色してさんごのイミテーションとすることがある。
透明で無色、青色、赤色、褐色、緑色などの色調をもった宝石である。正方晶系、成分はZrSiO4、屈折率は大きく変化するがハイタイプは1.925-1.984、ロータイプは1.810-1.815、ミディアムタイプは両者の中間値を示す。ジルコンは硬度が高い(7~7.5)にもかかわらず脆いので、エッジが欠け易い。また熱処理によって無色や青色のジルコンとすることができるが、青色ジルコンは退色性が強い。
尖晶石。透明から不透明までで、色調はコランダムと全く同じ範囲で、濃赤色からピンク色、灰色がかった青色などが代表的な色調である。スピネルは宝石としての条件は十分な性質をもっているが、赤色ではルビー、青色ではサファイアが代表的な宝石としてよく知られているので、スピネルはそのイミテーションのように思われているのも人気のない理由の一つである。等軸晶系、屈折率1.715、比重3.57、硬度8、ミャンマー(旧ビルマ)、スリランカで産出する。
黝輝石(ユウキ石)。スポジューメンは宝石としてはあまり知られていないが、ピンク色変種のクンツァイトは比較的によく知られている。スポジューメンの色調としてはピンク色からピンクがかった紫色のクンツァイトと、クロム着色の濃緑色のヒデナイトや黄緑色のスポジューメンなどがある。単斜晶系、成分はLiAl(SiO3)2、屈折率は1.660-1.676、比重3.18。
1967年タンザニアで発見された透明青色の宝石で知られるようになった。その他の色調としては赤色、緑色がある。斜方晶系、成分はCa2Al3(SiO4)3(OH)、屈折率は、1.691-1.704、比重は3.35~3.55。良質の青色ゾイサイトは魅力的な光沢と色調を持つ宝石である。
透輝石。透明から不透明で、色調は無色、褐色、淡緑色から黒に近い緑色、青色などの宝石で、ある種のダイオプサイドはシャトヤンシー効果、4条稀には6条のスター効果を示す。単斜晶系、成分はCaMg(SiO3)2、屈折率は1.675-1.701、比重は3.23。ダイオプサイドで比較的価値があるのはクロム着色の石がスター効果を示す石で、他は宝石マニアの対象。
ダイヤモンド・イミテーションとして使われている合成石。高い輝きと分散を示すが、硬度が低いので傷つきやすい。分散がダイヤモンドより強いので区別は容易である。
黄玉。トパーズには無色、紫色、赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色など多くの色調をもった変種があり、特に黄色、ピンク色、青色のトパーズは魅力的な宝石として人気がある。斜方晶系、屈折率1.609-1.617または1.629-1.637、劈開性強。主な産地はブラジル、スリランカなどがある。
トルコ石は最も古くから装飾用に使われている宝石の一つである。一般的に空青色不透明の石であるが、しばしばネットあるいはスパイダーウェッブ(蜘蛛の巣)と呼ばれる黒褐色の母岩が筋状に含まれたまま用いられることもある。トルコ石はワックスやプラスチックを含侵させて耐久性や色調の改善が一般的に行われているが、希に強い乾燥によって割れることもある。その他に粉末を固めたものやガラス、スラグなどがイミテーションとして使われている。三斜晶系、成分はCuAl6(PO4)4(OH)8・5H20、屈折率1.61。
電気石。ほとんど全ての色調をもった宝石で、代表的な色調はトルマリン・グリーンと呼ばれる暗緑色であるが、最近ではクロム着色によるエメラルド・グリーンのトルマリンも産出している。またアレキサンドライト効果やキャッツアイ効果を示すトルマリンも産出する。六方晶系、成分はアルミニウム硼酸珪酸塩、屈折率1.624-1.644、比重3.00~3.15、主な産地はブラジル、スリランカ、マダガスカル、タンザニアなどがある。
フェルドスパーは長石類の総称で、宝石質としてはラブラドライト、オリゴクレーズ、アルバイト、マイクロクライン、オーソクレーズの5種類に分類される。このグループは宝石としてはそれほど価値のあるものはなく、ムーンストーン、ラブラドライト、サンストーン、アマゾナイトなどが知られている。特性値はかなり変動するが、三斜晶系と単斜晶系のものがある。
ペリドットは鉱物学的にはオリビンと呼ばれるもので、かなり一般的な鉱物である。透明な石半透明で黄色がかった緑色の宝石である。斜方晶系、成分は(Mg、Fe)2SiO4、屈折率1.654-1.690、比重3.32~3.35。。
孔雀石。ほとんど不透明な青緑色の鉱物で、一般には色の濃淡によるしま模様が入っている。炭酸銅の塊状結晶で、一部の良質の石を除いて宝石としてよりは、装飾用置石とか彫刻用に使われる。旧ソ連、ジンバブエ、アリゾナなどで産出する。
イットリウム・アルミニウム・ガーネットの略で、主としてダイヤモンドのイミテーションとして使われる合成石。ダイヤモンドと比べると、ブリリアンシー、ファイアともに劣る。青色、緑色、黄色などのYAGもつくられている。等軸晶系、屈折率、1.833、比重4.55、分散0.028。
半透明ないし不透明で青色からすみれ色がかった青色の岩石で、主成分はラズライトとハウイナイトで、金色のパイライトや白色のカルサイトの包有物を含む。屈折率1.50、表面は岩石特有の凹凸のある構造をしている。P.ギルソンによって模造ラピス・ラズリもつくられている。
バラ輝石。半透明から不透明でピンク色または赤褐色の装飾用鉱物。三斜晶系、成分はMnSiO3、屈折率1.73-1.74、ロードクロサイトやピンク・グロッシュラー・ガーネットと混同しやすい。