2016年2月18日
加熱の検出限界について
ルビー、サファイア等のコランダムは通常色の改善を目的とした加熱が行われています。
加熱の温度は、淡色化あるいは濃色化等の目的に応じて異なりますが、一般的には1400℃~1700℃、時にはそれ以上の高温に曝されています。
これらの加熱の検出には、宝石顕微鏡による詳細な内部特徴の観察、紫外・可視分光分析、FTIRによる赤外分光分析が必須です。さらに必要な場合には蛍光X線分析、ラマン分光分析およびレーザー・トモグラフィによる観察等が行われ、検査時点でのノウハウとこれらデータを総合して判断されます。
コランダムは地質学的な産出状況において異なりますが、通常800℃~1200℃で生成すると考えられており、自然界において本来この程度の熱履歴を有しています。
本分析報告書においては上述の各種分析を世界水準で行い、加熱の検出を行っています。
しかしながら、生成温度以下の加熱等、検出不可能あるいは特別な条件下でのみ可能となるケースがあります。したがって、加熱の痕跡が検出できない場合においても、必ずしも非加熱を保証するものではありません。