CGL通信 vol44 「コラム:サイズアップする中国製HPHT合成ダイヤモンド」
リサーチ室 北脇 裕士
中国で製造されるHPHT合成ダイヤモンドについては、本誌No.30、No.32およびNo.35などにて詳しくお伝えしてきました。最近、鑑別業務で見かけるものや、研究用に入手した中国製と思われる合成ダイヤモンドはサイズが大きくなってきており、これまでの「中国製HPHT合成ダイヤモンド=メレサイズ」という認識を改める必要があると感じています。写真1に示したのは最近研究用として調べる機会を得た中国製と思われるHPHT合成ダイヤモンドです。
写真左側の多数個のものは従来通りのメレサイズですが、褐色掛かっています。写真右上の3個のものは褐色系で左から0.52ct、0.38ct、0.43ctあります。中段の2個は黄色味を帯びており、下段の2個はやや青味を帯びています。
これらのうち多くのものは金属包有物が認められ(写真2および写真3)、強力なネオジム磁石にくっつきました(写真4)。また、天然には見られないダスト状の包有物(写真5)や針状の包有物が認められ(写真6)、ルーペでチェックする際の手がかりになります。
中国製のHPHT合成ダイヤモンドは、複数の企業による競合の結果、メレサイズから徐々にサイズが大きなものにシフトしつつあります。この際、製造工程における金属溶媒の種類や温度制御などの技術レベルの発展途上にあり、完全な無色ではなく、様々な色合いを持ったものが出現しているようです。◆