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ラボトピックス「ジェメシス社製 合成ダイヤモンド」

ジェメシス社製 合成ダイヤモンド

大阪支店 山根 千恵  

先日、1ctをこえるアメリカ ジェメシス社製合成ダイヤモンドが持ち込まれました。色相はYellow Orangeで照射処理をされていました。以下当該石の鑑別特徴について報告します。

はじめに

1955年アメリカGE社が初の合成ダイヤモンド育成の成功を公表して以来、合成ダイヤモンドの製造技術が発展し生産量の増加だけではなく、今日では1ctを超える合成ダイヤモンドが商業ベースで宝飾市場に流通しています。

特に各色カラーダイヤモンドの合成は天然カラーダイヤモンドの人気に伴い、現在ではジェメシス社の他にチャザム クリエイテッド ジェムズ社、ルーセントダイアモンズ社などが合成カラーダイヤモンドを大量に販売しています。そして今後さらに供給量が増加すると考えられています。

写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

写真6

ジェメシス社製合成ダイヤモンド

ジェメシス社はアメリカ フロリダ州サラソタを本拠地とし、Yellow、Orange Yellow、Yellow Orange色相のIbタイプ合成ダイヤモンドを主に商業ベースで製造しています。

ジェメシス社の製造方法はHPHT(高温高圧)法で「BARS」とよばれるダイヤモンド成長装置を使用し、成長条件は5.0~6.5ギガパスカル、1350~1800℃の環境で育成させます。また育成方法は、鉄、ニッケル、コバルトなどを溶媒とし、成長室の上部に原料となる炭素を、下部にダイヤモンドの種結晶を置き、上下部分に温度差を生じさせ結晶化を促す「温度勾配」法での育成です。

ジェメシス社製合成ダイヤモンドの鑑別

今回のこの石は、ダイヤモンドのソーティングとして持ち込まれました(写真1)。色相は、Fancy Vivid-Deep Yellow Orangeで、重量は1.180ctでした。クラリティはSI2、カットはVery Goodでした。(通常、合成石にはグレードは適用していません) 

またこの石には、ガードルに『GEMESIS CREATED』の刻印がありました(写真2)。

紫外線蛍光反応は長波紫外線は faint Orange に、短波紫外線は Medium Orangeに発光し、長波短波とも中央部分にGreenish Yellowのクロス形模様が見えました。拡大下では、テーブル下にピンポイント状の金属インクルージョンが分散したクラウドがあり、天然のクラウドよりレリーフが高く感じられることと、クラウドがセクターに依存した配列なのが特徴的でした(写真3)。

パビリオン側から観察すると、全体的にオレンジの色相の中にイエローの色相部分がありカラーゾーニングが明瞭に見えました(写真4)。これはHPHT法合成ダイヤモンドに特徴的で、八面体に平行に成長してきた領域と六面体に平行に成長してきた領域とが生じることでみられるセクターゾーニングです。

次に、DTC製ダイヤモンドビューで蛍光像を観察したところ、セクターの発光が明瞭に確認されました(写真5,6)。この蛍光像は明らかに天然ダイヤモンドとは異なるものです。

FTIRでは、1344cm-1、1130cm-1の吸収が現れ典型的なIbタイプでした。1282cm-1の吸収も出現しIaA要素も含まれています。また照射処理に由来する、H1a(1450cm-1), H1b(4935cm-1)の吸収も現れました。

紫外-可視分光ではN-V‐センタ(637nm)が明瞭に現れ、この合成ダイヤモンドはイエローの色相だったものを照射処理されオレンジベースの色相に改変されたことがわかります。

以上のように、ジェメシス社製合成ダイヤモンドは典型的なHPHT法の特徴を示しました。注意深く対応することで天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドは充分識別可能と思われます。

小売店様向け宝石の知識「ネフライトとジェイダイト」

ネフライトとジェイダイト

ネフライトは緑色半透明の宝石が代表的で鉱物名は天然アクチノーライト-トレモライトです。中国では人間に生命力を与える「奇跡の宝石」「魔法の宝石」として崇められ、昔から“yu”と呼称され「王の玉」と尊重されてきた長い歴史を持ち、5000年以上のヒスイ文化が栄えてきました。

緑色の宝石は強い生命力を象徴し、身体から災難を防ぎ、精神力を強め、健康を増進すると考えられてきました。中国ではヒスイへの崇敬は高く、ヒスイを置物として部屋の装飾品に、また身体に着用するために指輪、腕輪、耳輪、首輪に加工され、おしゃれに魔除けに使われてきたのです。

中国、東南アジアに旅行すると人々が緑色の宝石を身につけているのをよく目にします。緑の宝石ヒスイは五徳〈仁・義・礼・智・勇〉を高める力があり、また五福〈長寿・健康・徳・富・自然老衰死〉も象徴しています。中国の農村では遺体の耳、鼻、口などにヒスイの玉を入れ、故人よ永遠なれと埋葬する風習があります。ヒスイがいかに生活に密着しているかがわかります。同じような風習は中央アメリカにもあります。

ヒスイは英語Jade・ジェードで緑色の石を意味し、スペインの征服者がメキシコを征服したときに名付けた呼び名です。緑の宝石ヒスイを1789年ドイツの鉱物学者ワーナーはネフライトという語を使いました。しかし同じように見える緑色の石は実は鉱物学上まったく違う2種類であることを1863年ダマー教授が発見し、それまでのネフライト(Nephrite)の呼称とは別に一方をジェイダイト(Jadeite)(硬玉)と名付け区別しました。

中国人にとってヒスイといえばネフライトのことで、加工しやすく産出量も多いので装身具のほか彫刻工芸品として玉器がつくられ珍重されてきました。18世紀中期にビルマ(ミャンマー)から同じ緑色の宝石ジェイダイトが入ってくるまで、中国では古代からネフライトだけでした。本ヒスイはビルマ産ヒスイのジェイダイトを指し、ネフライトとは別種の宝石です。

NHKスペシャル番組「シルクロード」の中で、中国の古代の王たちは遺体にネフライトの小片を金の糸で編みこんだ「金縷玉衣」といわれるネフライトの衣裳をまとって埋葬された話、トルキスタンの「崑崙山脈」北側の白玉川から産出されるネフライトが砂漠を往く駱駝の背に乗せられてホータンから北京へ運ばれる「ヒスイの道」の映像が印象的でした。1295年マルコポーロはホータンを訪れた際にヒスイ産地のことを記述しています。なおネフライトの産地はニュージーランド、ロシア、台湾、米国、カナダなど世界に広く分布しています。

ネフライトの主要特長は 1.靭性強度には優れているがモース硬度では本ヒスイ(ジェダイト)に及ばない。 2.緑色を中心にホワイト、ブラックがかった多彩な色種 3.古代彫刻品にも近代デザインの装身具にも想像力をかきたてる 4.ヒスイに似た落ち着いた深い緑の色合い、てり、半透明度は、和服を含む東洋の衣裳にまた洋服にも似合い、シルク、ウール、ベルベットなど現代風の服地にも十分に合わせられます。

ネフライトは文化教養ある人、気品ある人、落ち着いた人、知的な人によく似合う宝石です。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊

ワールドニュース

イスラエルNews

1月のイスラエルの研磨済みダイヤモンドの輸出量は前年同月期より6.5%ダウン
1月の研磨済みダイヤモンドの輸出量は、金額ベースで2005年の同月期6億5700万ドルと比べ6.5%ダウンの6億1420万ドルに達しました。数量(ct)ベースでも39万4220ctsと19.1%減少しました。
1月のダイヤモンド原石の輸入も、金額ベースで2005年同月期と比べ19.2%減少し3億4960万ドルでした。数量(ベース)でも137万ctsと24.8%減少しました。しかし逆に研磨済みダイヤモンドの輸入は、金額ベースで2億5619万ドルと10%増加しました。数量(ct)ベースでも25万1181ctsと3.2%の増加です。イスラエルのダイヤモンドの原石の輸出は、金額ベースで2億7370万ドルまで(18.4%)減少し、数量(ct)ベースで200万ctsに(24.3%)減少しました。イスラエルの研磨済みダイヤモンドの大部分はアメリカ合衆国向けで昨年より2.6%増加して4億0035万ドル、ベルギー向けも12.5%増加の5621万ドル、しかし香港向けは54%ダウンの4286万ドルになりました。イスラエルのダイヤモンド原石輸入の1ctあたりの価格は255ドルで7.4%上昇し、イスラエルの研磨済みダイヤモンドの輸出の1ctあたりの価格は、1558ドル/ctで15.6%上がりました。

M-レポート

-6.5,wh/SI+、had yet to show any signs of pick up in sales, 1/10-1/6,wh/PQ、demand was on the rise, 1/4-1/3,wh/PQ、 demand was soft, 3/4,D-K/VS+、demand was on the rise, 1ct-10ct,D-M /SI2+、 were in strong moving

アメリカNews

2005年の米国の研磨済みダイヤモンドの輸入量は前年の11%増加
米国国勢調査局によって発表された2005年の研磨済みダイヤモンドの輸入量は、金額ベース合計154億ドルで前年より11%成長しました。同じく2005年の研磨済みダイヤモンドの輸出量も金額ベースで23%の伸びを示し81億ドルです。数量(ct)ベースでも720万ctsに達しました。
2005年のダイヤモンド原石の輸入も、金額ベースで8億6400万ドルでした。前年比で15%の増加です。ダイヤモンドの原石輸出は、数量(ct)ベーでス2004年に比べ81%(160万cts)ダウンしました。2年連続の減少です。しかし、2005年のダイヤモンド原石の輸出は、金額ベースで3億8100万ドルで42%の増加でした。

M-レポート

-2,across the board、was selling strongly, -6.5,across the board、was in good demand, +6.5,across the board、 was slow, 4/4,color treated blue、was selling strongly, 1.25-1.75cts,D-I/VS1-SI2、were enjoying healthy sales, 2-5cts,across the board(mainly G-H/SI1) 、good makes, were selling

ベルギーNews

1月のベルギーの研磨済みダイヤモンドの輸出量は前年同月期より16%アップ
HRDダイヤモンドオフィスによって発表された数字によると1月の研磨済みダイヤモンドの輸出量は、金額ベースで16%増加の6億8400万ドルに達しました。数量(ct)ベースでは61万5000ctsと7%減少しました。
1月の研磨済みダイヤモンドの輸入量は、金額ベースで20%増加の7億4200万ドルに達しました。しかし数量(ct)ベースでは80万6100ctsと2%減少しました。
ベルギーの研磨済みダイヤモンドは、アメリカ合衆国向け、香港向け、そしてイスラエル向けで輸出総量の56.4%にもなります。その内訳は、金額ベースでアメリカ合衆国向け2億0230万ドルでわずかに減少、香港向けは58%増加の9850万ドル、イスラエル向けは52%増加の8540万ドルになりました。特に英国への研磨済みダイヤモンドの輸出量が飛躍的伸びており78%増加の4940万ドルに達しております。

M-レポート

-2,wh SI+、was moving well, -6.5,across the board、was in high demand, +6.5,across the board、demand was on the rise, 1/10-1/6,wh/PQ、were staring to move, 1/4-1/3, wh/PQ、were picking up, 1/4-1/3,D-K/SI+,good makes、 were starting to sell, 3/8-1/2,D-K/SI+、 demand was on the rise, 1ct-5ct,wh/PQ、including goods for treatment were selling

インドNews

12月のインドの研磨済みダイヤモンドの輸出量は前年同月期より16%ダウン
12月の研磨済みダイヤモンドの輸出量は、金額ベースで昨年の同月期7億5830万ドルと比べ16%ダウンの6億3700万ドルに達しました。数量(ct)ベースでも300万ctsに達しました。
4月から12月まで(第一四半期から第三四半期)の研磨済みダイヤモンドの輸出は87億ドルに達し、前年同期比で14.4%の増加です。数量(ct)ベースでも同期3%アップの3400万ctsに達しました。12月のダイヤモンド原石の輸入も、金額ベースで8億4300万ドルでした。同じく4月から12月まで(第一四半期から第三四半期)のダイヤモンド原石の輸入は67億ドルに達し、前年同期比で26%の増加です。数量(ct)ベースでも1億6400万ctsに達しました。ダイヤモンドの原石輸出は、4440万ドルで66%増加しました。
インドの研磨済みダイヤモンドの輸入は、金額ベースで1億2600万ドルと61%に急増しました。4月から12月まで(第一四半期から第三四半期)の研磨済みダイヤモンドの輸入は25億ドルに達し、前年同期比で47%の増加です。同期のダイヤモンド原石の輸出は、金額ベースで4億2550万ドルで79%の増加でした。数量(ct)ベースでも25万1181ctsと3.2%の増加です。

M-レポート

-2,wh SI+、was selling well, -6.5,wh、good demand, +6.5,wh high demand, 1/10-1/6,wh/PQ、good selling for overseas buyers, 1/10-1/6, D-J/SI+, good makes、were in demand, mainly by the local Indian market, 3/8-1/2,D-K/SI1+, good makes、 were in strong motion, 1ct-5ct,wh/PQ including goods for treatment、were selling strongly both to overseas and local Indian buyers


株式会社IBCTOKYO 担当:木村 e-mail: sales@ibctokyo.com
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最近市場で見かける長石について

1.はじめに

最近市場で見かける長石のペリステライトを、その類似石と考えられるムーンストーン及びラブラドーライトと比較する方法で紹介します。また、めずらしい長石としてハイアロフェンを紹介します。

長石(feldspar)とは?

長石(feldspar)は地殻の約6割を占めるため広範囲に産出し、ほとんどの岩石に含まれる非常に重要な鉱物です。化学的にはアルバイト(NaAlSi3O8)、アノーサイト(CaAl2Si2O8)、オーソクレース(KAlSi3O8)を主成分とする固溶体(注1) 鉱物の総称で、その3種類の混ざり方で様々な名前がつけられています。アルバイト、アノーサイト、オーソクレースの混ざり方と一般的な長石の分類は図1の通りです。

図1(図1)

なお、上に示した一般的な長石の他に、バリウムを含むセルシアン(BaAl2Si2O8)、アンモニウムを含むアンモニウム長石(NH4AlSi3O8)があり、セルシアンとオーソクレースとの固溶体の中間を示すハイアロフェン等があります。

(注1) 固溶体・・・固体同士が混ざり合ったものです。固体同士が混ざり合うというイメージは湧きにくいかもしれませんが、液体である水とアルコールが混ざり合うように固体同士も混ざり合います。しかし、水と油のように固体同士でも混ざり合わない組み合わせもあり、高温では混ざり合っていても低温になると分離してしまう組み合わせも存在します。

3.ペリステライトとムーンストーン、ラブラドーライト

「ブルー・ムーンストーン」と呼ばれる長石は、これまではラブラドーライトでした。しかし最近「ブルー・ムーンストーン」の名称で売られている石でラブラドーライトではないものを見かけるようになりました。それはペリステライトと呼ばれる長石の一種で、、ラブラドーライトやムーンストーンと同じようにイリデッセンスを示す石です。このペリステライトについて、ムーンストーン及びラブラドーライトと比較します。これらは一見すると非常に似ており同じ長石族ですが、化学組成が全く異なる別の鉱物です。図1で説明した三角ダイヤグラムのどこに三者が分類されるか、下記図2に示します。

図2(図2)

ペリステライト ムーンストーン ラブラドーライト
図3:ペリステライト 図4:ムーンストーン 図5:ラブラドーライト
*ペリステライト、ムーンストーン、ラブラドーライトは外見的に大変類似しています。

イリデッセンスとは、二層のラメラ構造が生み出す光の現象です。ラメラ構造を示す長石は図6で示すように2種類の長石が薄い層を成して順番に積み重なっている構造です。

(図6)

*ラメラ構造とは2種類の薄い層が順に積み重なっている構造。層は波うつ場合もある。

この構造をペリステライトの場合で説明しますと、アルバイトとオリゴクレースは非常に高温の状態では混ざり合う性質にあるのですが、低温では混ざり合いません。高温でアルバイトとオリゴクレースが混ざり合った状態のものが冷やされていくとアルバイトとオリゴクレースの二層が分離し、ペリステライトがもつラメラ構造ができるのです。
ペリステライト、ムーンストーン、ラブラドライトの3種類の比較を下表にまとめました。

ペリステライト、ムーンストーン、ラブラドーライトの3種類の鑑別は上の表をみていただければわかると思いますが、屈折率、比重、その他、基本的な手法で鑑別することは可能です。EDS(蛍光X線分析装置)を用いて化学組成を分析することが、より正確な鑑別につながります。

4.ハイアロフェン

先日、バリウム長石であるセルシアン(BaAl2Si2O8)とオーソクレース(KAlSi3O8)の固溶体であるハイアロフェンについて鑑別する機会を得ましたので紹介します。
このハイアロフェンはボスニアのヘルツェゴビナ産のハイアロフェンで、重量は0.712ctでした。基本的な鑑別パラメータは下表の通りです。

<測定されたハイアロフェンの諸データ>
重量 0.712 ct
屈折率 1.548~1.552
蛍光 赤(短波)
比重 2.87

(図7)

蛍光が短波で赤色を示し、屈折率が1.548~1.552であることから、斜長石系列と一瞬見間違います。しかし比重が2.87もあり、同じ屈折率を示す斜長石と比較すると重い値を示しています。蛍光X線分析装置でこの石を分析した結果、かなりの量のバリウムが含まれていることがわかりました(図8、図9参照)。

(図8)


図9:蛍光X線分析装置によるハイアロフェンの分析結果とX線強度チャート

組成を解析した結果、この石はオーソクレース成分を47%、アノーサイト成分を9%、セルシアン成分を44%含むハイアロフェンであることがわかりました。
結論としてハイアロフェンは屈折と蛍光の性質が斜長石系列に類似しているため、屈折と蛍光の性質だけでは誤鑑別をしてしまう可能性があるということです。これらの石の正確な鑑別には蛍光X線を用いた成分分析を行うことが望ましいと思われます。

5.終わりに

数ある長石族の中で今回はペリステライト、ムーンストーン、ラブラドーライト、ハイアロフェンについて紹介しました。これらは基本的な鑑別手法で鑑別することが可能ですが、ミスのない鑑別には蛍光X線分析装置等を用いた化学分析が必須です。当社では依頼のあった長石族の石に対し確実な分析を行い、正確な鑑別を行っております。

小売店様向け宝石の知識「クリソベリル・キャッツ・アイ」

クリソベリル・キャッツ・アイ (Chrysoberyl Cat’s-eye)

クリソベリル・キャッツ・アイは、宝石の中で最も美しい猫目効果(シャトヤンシー)を示す宝石である。光学現象によって猫の目の瞳を細めたような外観が美しく現れる。猫目効果はクリソベリルの褐色、緑色、黄色どの色にも出るが、最も高く評価されるのは蜂蜜の色に似た、やや緑がかかった黄色で、ハニーイエローといわれる。

クリソベリルのクリソChrisはギリシャ語で「金」、ベリルberylは「緑柱石」の意味があるところから、日本名は金緑石という。

クリソベリルの硬度は8.5、宝石としてはダイヤモンド、コランダム(ルビー・サファイア)に次いで三番目に硬い石である。主な産地はスリランカ、ブラジルである。

自然界にはキャッツ・アイを示す宝石はこのほかにも多くあるが、絹のような光沢と鮮明な目をもった蜂蜜色のクリソベリル・キャッツ・アイは最も美しい猫目効果(シャトヤンシー)が現れる宝石である。

東洋では、キャッツ・アイは所有者の健康を維持し、貧乏から守ってくれると信じられ、幸運の守り神として非常に尊重されている。

英国の宝石愛好家であったトーマスP.ホープも、好んでクリソベリル宝石を蒐集していたことで知られている。英国王室はこの宝石を婚約指輪として長い間愛好していた。アメリカの自然博物館は47.8カラットの素晴らしいクリソベリル・キャッツ・アイを所蔵展示し誇りにしている。宝石が好きな人なら是非クリソベリル・キャッツ・アイを所有したいと願う宝石である。

良質のクリソベリル・キャッツ・アイを集中光源に向け、猫目帯(シャトヤントバンド)が光に直角になるように持つと、光に近い石の半分はボデイカラー(地色)を示し、ほかの半分は極めて乳白色に見える。この石のボデイカラーが蜂蜜色とすると、その外観は“ミルクと蜂蜜”効果とよくいわれる。

もう一つ注目すべき興味深いことは、オーバーヘッドの光源が二つあった場合、猫目が開いたり、閉じたりすることである。石を回転させると目の間が開いて二本の線に分かれ、またもとの一本にシャトヤントバンドが戻る。カボションがあまり高いと、この効果は生じない。

良質のクリソベリル・キャッツ・アイの最も重要な産地はスリランカである。同じクリソベリル種であるアレキサンドライトも同じ鉱区で産出するが、現在は稀にしか産出しない。今日の重要な産地はブラジルで、特にミナス・ジェライス州がそうである。このほかロシア、ミャンマーでも産出するが高品質のものはめったに出ないようだ。

ここでキャッツ・アイについて正しく理解しておこう。キャッツ・アイとは、カボションカットしたある種の宝石に上から光を当てると、その山高部にあたかも猫の目のように細い白い光の線状が現れ、石を動かすとその線状が猫の目のように開いたり閉じたりする光の特殊効果のことである。決して猫目石という単独の宝石があるわけではない。キャッツ・アイとは、光を宝石に当てたときの特殊効果のことでフランス語の猫を意味するChat(シャ)から由来するChatoyancy(シャトヤンシー)ともいう。この猫目特殊効果は、宝石内部の構造によるもので、宝石内部の密集して存在する平行繊維状組織によって引き起こされる内部反射のために現れる猫の目のような線状を指していう。

したがってキャッツ・アイは、猫目効果のことで、宝石そのものではない。キャッツ・アイ効果を表わす宝石には、チューブ状インクルージョンが発達したトルマリン、アクワマリン等々あり、それぞれトルマリン・キャッツ・アイ、アクワマリン・キャッツ・アイと必ず宝石名をキャッツ・アイの前につけることとなっている。

ただキャッツ・アイと云ったときは、クリソベリル・キャッツ・アイを指す。それほど自然界の中で知られている最も美しい猫目効果の宝石である。クリソベリル・キャッツ・アイの目の開閉と、ミルクと蜂蜜の美しい色合いは所有者の魅惑の源泉であり、悪魔を払う効能があり幸運を呼ぶといわれ、光の特殊効果が現れるまことに貴重な宝石である。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊

ワールドニュース

あけましておめでとうございます。昨年はご愛読ありがとうございました。今年もワールドニュースを宜しくお願い申し上げます。早速、新春号にちなんでダイヤモンドマーケットのお正月から。

イスラエル New Year

ユダヤ教のお正月は、ユダヤ暦で第七の月の1日(旧約聖書ではこの地上ではじめての人であるアダムが創られた日がティシュリ月の1日)この日がユダヤの新年(ちなみに今は5766年)となります。今のカレンダーで見ますと、その時は収穫が済んだ秋の九月の下旬か十月の上旬でした。旧約聖書に「主はモーセにおおせになった。イスラエルの人々に告げなさい。第七の月の1日は安息の日として守り、角笛を吹き鳴らして記念し、聖なる集会の日としなさい。あなたたちはいかなる仕事をしてはならない。燃やして主にささげるささげ物をたずさえなさい。」と書いてあります。この新年の日の食卓ではどこの家庭でも石榴が出され、スライスしたリンゴに蜂蜜をつけて食べます。
ヘブライ語では新年をロシュ・ハシャナ(ロシュ=頭、ハシャナ=その年)と言います。ユダヤ暦では、このロシュ・ハシャナの10日後にヨムキプールがやって来ます。この新年では「ディン」と呼ばれる審判が行われ、新しくやって来る年のそれぞれの運命が決められます。そしてこの新年には、天国では「命の本」「死の本」「正直者の本」「老後の本」そして「健康の本」の5冊の本が開かれます。その10日後のヨムキプールまでに①ユダヤ教の勉強や祈り②家族、友人や同僚そして周りの人々に一年の反省を告げる③チャリティーをすることによって「死の本」から「生の本」へと変われる可能性があるのです。どの本の中に名前を記されるのかヨムキプールに神が決めるので、ユダヤの人は新しい年に向かって努力をして、一からの再スタートを切るのです。

M-レポート

-6.5, wh/SI+、demand was only slightly shifting, 1/10-1/6, D-J/VS+、good makes somewhat moving, 1/4-1/3 wh/PQ slow, 1ct-5ct, wh/PQ、were selling, mainly to regulars of these articles, 1ct-10ct, D-M /SI2+ continued to enjoy healthy sales

インド New Year

インドのお正月は、国民の8割がヒンドゥー教ですから、お正月などの祝祭日は「ビクラマディティヤ」という太陰太陽暦の「ヒンドゥー暦」に従い、「Diwali=ディワリ」ということになりそうです。ディワリは元々、ヒンドゥー教の神様ヴィシュヌの化身である英雄ラーマが長年の追放から無事帰還したことを祝ったのが始まりで、女神ラクシュミ(富と幸運の神でヴィシュヌの妻)を迎えるお祭りです。
ディワリはカーティック(西洋暦では10月or 11月)と呼ばれる、満月から2週間後の「新月」の日に行われます。多くの会社や学校がお休みとなり、街にはきれいな飾りつけがされて、賑やかになります。サンスクリット語で「ランプの列」を意味するお祭りですから、家々は「ディヤ」という小さな素焼きの皿のランプ(ディヤは、素焼きの皿の中にギー(ミルクから作った油)またはマスタード・オイルを入れ、コットンで芯を作り、灯をともして使います。ろうそくの灯は風ですぐ消えてしまいますが、ディヤについた灯はなかなか消えない)やろうそくの灯、またはイルミネーションで飾られ、建物はライトアップされて町中が光で華やかになります。暗闇がないようにするのです。爆竹や花火なども上げられて、活気溢れるムードになります。そして迎えたディワリの日。新しい服で身を包み、 "HAPPY DIWALI!!" とお互いに声をかけあいます。
女神ラクシュミーはこの夜の12時に家々に訪れ、人々に金運を授けると言われているので、家の窓を少しだけ開けておきます。ディワリの準備は、家々では家中の壁の塗り替え(ホワイト・ウォッシュ)をしたり、大掃除をしたりするそうです。新しい服を用意し、お歳暮やお菓子を準備したりもします。お歳暮と言っても、お世話になった人だけではなく、近所の人にも配りますし、毎年いろいろとアイディアが必要で結構大変そうです。シルバーやゴールド、陶磁器などをプレゼントすることもあるそうです。また年賀状にあたる「ディワリ・カード」も配ります。そしてお祈りやお寺参りをし、親戚や友人の家を訪ねて、新年を祝います。

M-レポート

-2, wh SI+、was moving, -6.5,wh、was in very good demand, +6.5、selling welling, 1/10-1/6, wh/PQ、were selling a slight downturn in sales, 1/4-1/3, wh/PQ、were in demand, 1/4-1/3, D-J/SI+、Good makes selling well, 1ct-5ct, wh/PQ including goods for treatment、 were in strong demand

香港New Year

香港はお正月が2度あります。一つは西暦の1月1日、もう一つは旧暦(農暦)の新年「初一」(1月1日)です。
西暦のお正月は欧米の儀式に習ったものであり、あまり重視されないのに対して、旧暦のお正月は中国人にとって1年で一番大事な行事なのです。日本の風習と同じように、大晦日までに大掃除を済ませ、お正月を迎えるお飾りや食事(年ゴウというこちらのお餅(年年高、毎年よくなるの意味がある)や大根餅、揚げ餃子、瓜子、糖果など)の用意で街はあわただしくなります。日本以上に家族で過ごすことが大切にされています。こちらのお飾りは赤と金の華やかなもの。毎年お正月2日目には花火大会も催されます。お正月の前になると、街中でお正月用のお花を抱えている人を見かけるようになります。花市も開かれ、水仙(運が良くなる)、グラジオラス(正月に開くと縁起がいい)、金柑・牡丹(お金が儲かる)、桃の花(異性運の向上)に猫ヤナギなど縁起が良いとされるお花がズラリとならびます。街中いたるところでみかける金柑。香港のお正月の一番ポピュラーな挨拶は「恭喜發財(クンフェイファッチョイ)!」。これも直訳すると「儲かりますように」ってこと。なかなかストレートな人たちです・・・(ちなみに中国大陸では旧正月にも「新年快楽」「新年好」という一般的な「あけましておめでとう」という挨拶を耳にすることも多い)。香港では元日には掃除をしない、髪を洗わないなどとも言われているそうで、理由は「お金や福を流して(掃きだして)しまうから」だとか。

M-レポート

-2, wh SI+、was moving well, -6.5, wh、healthy demand, +6.5, wh was selling well, 1/10-1/6, wh/PQ、good selling for Japanese buyers, 1/4-1/3, wh/PQ healthy sales, 1/4-1/3, D-J/SI+、good demand, 1ct-10cts, D-Cape/SI+、were in heavy demand, 1ct-5ct, wh/PQ were selling well

ベルギーNews

10月のベルギーの研磨済みダイヤモンドの輸出量は前年同月期より0.7%アップ
10月の研磨済みダイヤモンドの輸出量は、2004年の同月期6億7910万ドルと比べ0.7%アップの6億8390万ドルに達しました。2005年1月からの10カ月間をみると昨年の同期67億ドルと比べて9%増の73億ドルになりました。10月のベルギーの研磨済みダイヤモンドの輸入量は、80万カラットと1.38%減少しましたが、価格は6億7570万ドルの7.06%増えています。同じく2005年1月からの10カ月間をみると昨年の同期870万カラットと比べて5.8%減の810万カラットになりました。
内訳はアメリカ合衆国向けで昨年より多少減少し22億5000万ドル、しかし香港向けは21.4%アップ、イスラエル向けも22.4%増加しました。

M-レポート

-2, wh/SI was selling, -6.5, wh、 was in good demand, +6.5, wh、 demand was on the rise, 1/10-1/6, wh/PQ、good selling for U.S. buyers, 1/4-1/3, D-J/SI+、were in good demand, 3/8-1/2, white/PQ、were selling well, 3/4 were high demand, 1ct-5cts, wh/PQ including goods for treatment、were moving well, 1ct-10cts D-Cape/VS+、were in strong demand

アメリカNews

アメリカの研磨済みダイヤモンドの輸入量は前年同月期より10.5%アップ
アメリカ国勢調査事務局によって発表された数字によると第1四半期から第3四半期までの研磨済みダイヤモンドの輸入量は、2004年の同期103億8000万ドルと比べ10.5%アップの114億8000万ドルに達しました。9カ月間の内訳は、ボリュームは2004年同期の1420万カラットと比べ、1280万カラットまで10%減少しました。
原石の値上げとトータルカラットの減少により研磨済みダイヤモンドの1カラットあたりの価格は、23%上昇し899ドルになりました。アメリカの主要輸入先であるイスラエル、ベルギーそしてインドで全体の57%にもなります。同じく原石の第1四半期から第3四半期までの内訳は、金額ベースで前年比27%アップの7億1500万ドルになりました。カラットベースで16%減少し、1カラットあたりの価格は、50%上昇し858ドルに急増しました。

M-レポート

-2, wh to off-white/VS to PQ、was selling well, -6.5, wh to off-white/VS to PQ、was in strong demand, +6.5,wh、 was weak, 1/10-1/6, D-K/SI to PQ、were moving well, 4/4, D-H/VVS+ certified stone with good makes good demand, 1.25-1.75cts, white/SI+, good makes、 were in strong demand, 3cts+, good makes、were in strong demand, All size, fancy yellows、were enjoying healthy sales


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