小売店様向け宝石の知識「宝石大国・インド2」

宝石大国・インド2

インドはダイヤモンドを最初に見つけて使い出した国。紀元前4世紀トラビダ族によるといわれる。それから1725年にブラジルでダイヤモンドが発見されるまでの間、貴重な世界唯一の産地として活躍した歴史がある。現在は主要産地の地位を失っている。

古代インドでは、ダイヤモンドが比類のない硬さをもち、八面体の面に平行に割れ易いという劈開(へきかい)の性質に気づいていたようだ。インドでは、この時代ダイヤモンドの売買に税金がかけられ、とくに三角形の面が八面でできている八面体ダイヤモンドには最高の税金がかけられ、ダイヤモンドのなかで最も価値あるものとして珍重された。ダイヤモンドは国内税や関税の対象であり、王朝の財源の一つであった。

インドが唯一のダイヤモンド産出国であったときに、17世紀にインド産ダイヤモンドをヨーロッパに紹介した人物がいる。タベルニエ・Tavernier, Jean Baptiste(1605~89)である。ダイヤモンド史上記憶すべき重要人物である。彼は著明なフランス宝石商であり、旅行家であった人。歴史的有名なビッグ・ダイヤモンドの物語には、しばしば登場してくる人物である。当時の最高権力者であったフランスのルイ十四世(1638~1715)も顧客の一人で、タベルニエからビッグ・ダイヤモンドを20個も購入した。タベルニエは前後6回にわたり東洋に旅行し、当時の多くの権力者や支配者の財宝を視察し記録にとどめた。とくにインドのビッグ・ダイヤモンドを買い求め、ヨーロッパに持ち帰った。彼が記述した東洋旅行記には、有名なインドのビッグ・ダイヤモンド並びに宝石類について当時の状況や伝説が記述されている。ダイヤモンドと宝石について歴史的に貴重な文献となっている。

ところで、タベルニエがヨーロッパの王侯貴族にダイヤモンドを売るときの商談について2大逸話がある。

逸話(1)は、タベルニエ・ルールである。
タベルニエが伝えたといわれ宝石の価格算定方式である。ダイヤモンドや宝石の価格は、その重量の2乗に比例して価格が上昇する。つまり1ctの価格に対して2ctはその4倍になるとしている。この宝石算定方式はインディアン・ルールともいわれていた。現在この方式は当然ながら用いられていない。

逸話(2)は、ダイヤモンドの採れる場所は、「ダイヤモンドの谷間」といわれ、特別の人間しか到達できない深山幽谷で、行くのは命がけである。そこでダイヤモンドを採取するには、殺したばかりの山羊の肉を渓谷に投げ込み、それを大鷲が谷底に舞い降りてダイヤモンドが付着した肉片を山頂の巣に運んだところを、あとで巣の周りに落ちたダイヤモンドを集める方法だ。遠い東洋で唯一の産地であるインドのダイヤモンドは、採れる場所は深山幽谷にあって、大蛇毒蛇がうようよしている危険なところ。そこから命がけで大難儀して持ち帰ってきたダイヤモンドだ。(参考:シンドバッドの「千夜一夜物語」。またダイヤモンドには油脂に付着し水分をはじく性質がある。)

タベルニエが17世紀後半にフランスのルイ王朝にダイヤモンドをインドから運んで売っていたのは、ダイヤモンドがまさに宝石の最高位に登りつつあった時代背景があった。

当時西欧では、ダイヤモンドが偉大な権力の象徴になってきたことだ。ダイヤモンドは途方もない力を持ち、狂人を正気に戻し、作物を天災から守り、家や建物を稲妻や雷から守り、病気を治癒すると考えられていた。これらダイヤモンドの神話は当時の人々によって信じられた。それ故にビッグ・ダイヤモンドが渇望されたといえよう。こういった話は一概に笑えない当時の世相だったようだ。

17世紀タベルニエが、インドにダイヤモンドの買い付けに商用に赴いたところはゴルコンダGolconda地方といわれる。インドの南西部アンドレブラデシュ州に位置する。17世紀のダイヤモンド大取引センターであった。インド産ダイヤモンドの話には必ず登場する。このゴルコンダ地方は、ベナール川、キストナ川、カーヌル川流域に広がり、昔のダイヤモンド漂砂鉱床で、当時は採掘場が存在していた。

このようにインドは紀元前から18世紀前半まで世界唯一ダイヤモンド産地だった。現在はダイヤモンドの大研磨加工センターである。昔も今もインドは宝石大国である。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊

ワールドニュース(2009.03)

花粉症の方には厳しい季節になりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
世界のダイヤモンドマーケットの現地での買付け方法や観光情報をご案内して参りましたが、今回は中国香港・珠海編について掲載させていただきます。

香港編

●正式名: 中華人民共和国 香港特別行政区
●総面積: 約1,104km2(東京23区の面積の約2倍)
●人口: 約700万人
●人口密度: 1km2当たり6,350人
●GDP: 2,067.07億ドル(一人当たり29,650ドル)

東京御徒町のジュエリータウンのように香港九龍の商業の中心・尖沙咀の東方に位置する紅(ホンハム、Hung Hom)にはたくさんの宝飾関連の企業が入居するビルがあります。ダイヤモンドサイトホルダーからジュエリー工場、パッケージ会社までこの周りだけでいろいろな会社と商談することができ、期待した工場がきっと見つかると思います。ここは香港では古くから工業地区として栄え、区域内には黄埔ドッグという造船所がありました。現在はその名残として黄埔地区内に黄埔号という船の形をしたモニュメントがあり、日系スーパージャスコや商店が入居しており、観光スポットの一つとなっています。また近年は海岸沿いやMTR東鉄線紅駅周辺には半島豪庭(ロイヤル・ペニンシュラ)、黄埔花園(ワンポアガーデン)、海逸豪園(ラグーナ・ベルデ)などのやや高級な高層住宅が林立し、深、東莞、広州、上海、北京など中国へ向かう列車の紅駅が近くにあり中国出張に大変便利な場所であることから、九龍では日本人駐在員がもっとも多く住んでいる地区でもあります。ぜひジュエリーフェアで香港にご出張の際は、紅まで足を延ばされてはいかがでしょうか?

3月は香港ジュエリーフェア

今年も香港島の「コンベンションセンター」と、空港近くの「AsiaWorld-Expo」の2会場での開催となります。本会場となる「コンベンションセンター」は3月4日から8日まで。ジュエリーショウだけではなく、さまざまな見本市が毎月行われています。一見帽子のひさしのような外観に見えますが、実は風水により金運が上がりますようにとの願いを込めて、「亀」の形を表しているのだそうです。一階から最上階まで世界最大のガラスが張られており、いまだ拡張増床の工事を行っています。「AsiaWorld-Expo」の会場は、3月1日から5日までですが、今年の来場者数は昨年よりもずいぶん少ないのではないかと予想されています。
このフェアのすばらしさは世界的に認知され総来場者も毎回最高を更新していましたが、昨年のリーマンショックに端を発した世界同時金融危機によりアメリカや日本をはじめとするジュエリー大消費国のバイヤーの来場が危ぶまれています。
過去のフェアでは、香港メーカーのブースでイタリアのバイヤーが交渉していたり、アメリカのバイヤーが買付けをしていたりと、デザイン、技術ともに認められてきていることを実感しました。業界の方々が中国・香港を工賃の安さだけという今までの捉え方ではなく、新しい加工技術への対応能力や生産力が向上した世界の工場としての役割を期待しているのではないかということです。事実、このフェアの出展者、来場者ともに年々増加していたということでもわかります。
現在の我々宝飾業界の危機を乗り越えるためには大きな視野をもち、お客様に喜んでいただけるような企画提案ができる商材を見つけ出し、落ち込む消費者のマインドを打ち消すものがきっと見つかると思います。その商材が日本にも好循環をもたらし業界全体に波及することを期待します。

中国 珠海編

●正式名: 中華人民共和国 広東省 珠海市
●総面積: 約1,653km2
●人口: 約141万人
●人口密度: 1km2当たり839人
●省都: 広東
●建都: 1921年
●GDP: 634.6億元(一人当たり45,258元)
歴史と背景

辛亥革命により中華民国が成立すると1925年孫文を顕彰し香山県は中山県と改称されました。中華人民共和国成立後も1953年珠海県と改称されましたが基本的な行政区分は継承されていました。その後は商工業の発展に伴い人口が増大、1979年3月5日一挙に地級市(地区クラスの市)に昇格します。1981年に深、汕頭そしてアモイとともに経済特区に指定され、以後安い労働力と土地を求めて多くの企業が進出し多額の外国投資を集めて目覚しく発展しました。マカオと隣接していることから、マカオ資本主体で開発が行われてきました。台湾、日本企業も既に珠海に進出しています。珠海には中山大学のほかに中国大陸の10大学が分校を設けているので企業への人材供給も不足はありません。北京や上海の大都市と比べ人々の対応が親切で思いやりの精神を私は感じることが多いです。あまり宣伝はしていませんが珠江デルタ東岸地域よりも「治安の良さ」を誘致条件としているようです。現有の産業としては、電子・電機関連、バイオ、ソフトウエア、石油化学、集積回路などのほか腕時計、キッチン用具、洗面所浴室設備など幅広い分野に至っています。その中で近年は、ダイヤモンドの研磨工場やジュエリーの生産工場の進出も相次いでいます。香港に事務所を構え労働賃金の安い中国工場でダイヤモンドの研磨やジュエリーの量産を行っています。珠海は香港とも協調していて珠海にも国際空港がありますが、珠海空港は香港空港との提携が決まり香港空港の第三滑走路として珠海空港を活用する予定。香港との間は通関後高速フェリーで結び、乗客はそのまま搭乗出来ます。香港島および九龍島からは高速フェリーで1時間ほどの距離にあり、週末ともなると香港に駐在する日本人のゴルフバックを担いだ珠海ゴルフ場利用者でいっぱいに。プレー代が日本に比べ格段に安いらしいです。



アイスブルーダイヤモンド企画・開発プロデューサーが本当にお客様にあった商品企画をご提案するために設立したダイヤモンド専門会社
株式会社IBCTOKYO 担当:木村 e-mail: sales@ibctokyo.com
東京都千代田区麹町 TEL : 03-3556-1481 FAX : 03-3556-1482 
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平成20年宝石学会(日本)「累帯構造を示すグリーンダイヤモンドについて」

間中 裕二
山本 正博

はじめに

“ウォーターメロンダイヤモンド”の商品名を付けられた、累帯構造を示すグリーンダイヤモンドの鑑別をする機会を得た。このダイヤモンドの外観は、中央部が透明な濃い緑色で外縁部は半透明で緑色の濃淡を呈する。形状は縦横が4.71×5.41mmに対し厚さ0.69mmのスライス状で、片面に浅い角度であるがファセットが付けられ(表面とする)、反対側は平坦(裏面とする)となっていて、重量は0.218カラットである(写真1・2)。
グリーンのダイヤモンドは、色の起源が天然か照射処理か判別が難しいもののひとつである。当該石は可視分光において通常であれば処理石と判断されるほどの明瞭なGR-1(741nm)吸収を示し放射線の影響を受けているのは明らかであるが、拡大検査では一般的な照射処理ダイヤモンドのような「表面近くだけが濃色」や「褐色の成長線」といった特徴は確認できず、さらに中央の透明な部分では内部に緑の色むらが観察されるため、安易に人工的な照射とは断定できない。

写真1 表面

写真1 表面

写真2 側面

写真2 側面


そこで今回の発表は、[1]結晶的な観点、[2]Diamond・View TM から見た構造的な関連性、[3]分光的な特徴、特にラマン分光器を用いたフォトルミネッセンス(PL)等から当該石の色起源について検査した結果を報告した。

[1]結晶・形態的特徴

暗視野照明下で観察すると、中央部は基本的に四角形でダイヤモンドの基本形である八面体の断面を示唆し、外縁部はその四角形に沿った累帯構造であることが分かる(写真3・4)。また、辺の部分が膨らんでいることも特徴的で、写真3の左下部分を見ていただくとダイヤモンドのもう一つの基本形である六面体に成りかけている形状を示していることが分かるであろう。

写真3 暗視野照明下

写真3 暗視野照明下

写真4 同上・拡大

写真4 同上・拡大

外周自然面

写真5 外周部

写真5 外周部

ガードル部分は非研磨でラフな状態である。写真3の矢印方向からの観察では四角形の積み重なりがわかる。この四角形はダイヤモンドの100面に現れる結晶面で、八面体の111面に現れる三角形でもなく、十二面体の110面に現れる平行な模様もしくは菱形でもないことを示す(写真5)。図1は「出光科学叢書3宝石の話」砂川一郎、鹿子木昭介/出光書店(1971)からお借りした様々な形状を示す天然ダイヤモンドの結晶図だが、右下の立方体を基本とする結晶の100面中に現れる成長模様と一致することが分かる。同時にこの石が天然起源であることを示唆している。

図1 宝石の話(1971)より

図1 宝石の話(1971)より

次に、ヨー化メチレンに浸液し結晶内部の観察をすると、外縁部の累帯構造だけでなく、中央部の四角形の中にも累帯に沿った濃淡が見られる。多くの部分は濃い緑色であるが一部に青味のある緑色の領域が存在する。また、ファセットエッジに色溜りは見られない。(写真6・7/左右180度回転)

写真6 表面(浸液)

写真6 表面(浸液)

写真7 裏面(浸液)

写真7 裏面(浸液)

[2]Diamond・View TM

ダイヤモンドビューの長所は可視光像を観察してそのまま蛍光像を捕らえることができる点である。もちろんこの蛍光像は表面的ではあるが、それは内部を反映した情報である。
まずは、ファセットを付けられた面を見ると中央の領域はI型に見られる青色蛍光を基本とし、一部に発光の弱い領域が存在し、その部分が前項の浸液したときに見られた青緑色部にも対応していることが分かる。また浸液だけでは見えない微妙な発光むらも観察される。さらに外縁部は累帯構造を反映しながらも全体的に発光が弱くやや緑色の蛍光像が見られる。(両サイドの光っている部分はファセットの反射である。ダイヤモンドビューの光源が構造上左右から照射されることと完全な紫外線ではないことに起因する。)次に、裏側の平坦な面の蛍光像では中央部右上に発光の弱い部分があり、こちらも浸液した写真とほぼ対応し、同様に成長の履歴を反映した細かい発光むらも観察される(写真8・9)。

写真8 表面(D・V)

写真8 表面(D・V)

写真9 裏面(D・V)

写真9 裏面(D・V)

[3]分光

紫外可視分光(UV-Vis)

図2 UV-Vis 中央部

図2 UV-Vis 中央部

図3 UV-Vis 重ね描き

図3 UV-Vis 重ね描き

外縁部をマスキングして中央の緑色部分の分光を測定した(図2)。明瞭なGR-1(741nm)およびN3(415nm)が確認される。これは天然起源のI型で照射の影響を受けた分光パターンであり、さらにN3およびそれに伴う吸収等が強すぎると見ることのできないND1シリーズと呼ばれる394、383、375 nmの吸収も現れている。ND1シリーズは照射による格子間原子の存在と考えられている。中央をマスキングした外縁部の測定では、弱いGR-1とN3が観察される(図3・重ね描きの淡緑色)。ただし、よく知られているようにGR-1の存在だけで人工的な照射と断定することはできない。

赤外分光(FT-IR)

図4 FT-IR

図4 FT-IR

IaAを示す1282cm-1の吸収、IaBを示す1180 cm-1付近のややブロードな吸収、プレートレット(1365cm-1)、水素関連(3107cm-1)などが現れている。照射の痕跡であるH1a(1450 cm-1)は小さな吸収であり、照射の根拠としては不十分である(図4)。
※1450 cm-1の吸収は十分に深いときに照射の有効な根拠となるが、天然でも現れることがあるため絶対ではない。

フォトルミネッセンス(PL)

写真10 PL測定位置

写真10 PL測定位置

UV-Vis、FT-IRでは照射処理の根拠としては十分ではないと判断されたため、それぞれの領域で顕微ラマン分光器を用いたPL分析(514nm)を試みた。分析箇所はファセットが付けられている表面の中央淡青緑色部を[a]、中央緑色部を[b]、外縁部淡緑色部を[c]とし、ファセットの付けられていない裏面の対応する箇所をそれぞれ[a]’、[b]’、[c]’とした。なお、分析に際し、当該ダイヤモンドを液体窒素に直接浸し、-196℃に近づけ、余計な発光を抑えるように測定を行った(写真10)。

[a]中央淡青緑色部

図5 PL[a]

図5 PL[a]

非常に強いGR-1発光が見られる。ダイヤモンドのラマン線は552nmにあるが、その比率は30倍以上である。また、647nmにピークが見られる。この発光は強い照射を受けた濃い緑色の処理石に表れるピークである。このピークの存在から照射処理であるとほぼ確信できる。裏面の[a]’もほぼ同様であった(図5)。

[b]中央濃緑色部

図6 PL[b]

図6 PL[b]

552nmのラマン線に対するGR-1強度は17倍と下がるが、通常の天然石に比べると極めて高い数値である。また特徴的なことは647nmの発光がGR-1なみに強くなっていることである。裏面も同様である(図6)。

[c] 外縁淡緑色部

図7 PL[c]

図7 PL[a]

全体的な発光強度は下がり、552nmに対するGR-1強度も小さくなっている。しかし、647nmの発光強度はGR-1より強くなっていることが観察された。裏面も同様であった(図7)。

まとめ

PL測定では、領域によって照射の痕跡に相違が見られるが、いずれにしろGR-1の発光が極端に強いか、GR-1発光が弱い場合には647nmに強い発光が観察され、グリーンダイヤモンドの鑑別において有効な手段であることが分かった(表1)。
また、ダイヤモンドの鑑別に際して(ダイヤモンドとは限らないが)正しい結果を導き出すには、結晶の成長履歴等を踏まえた上での観察並びに正確で有効な機器測定が重要である(表2)。

表1

表1

表2

表2

謝辞

本研究に際し、快くサンプルを寄贈ならびに貸し出しをしていただいた瑞浪鉱物展示館に対して、ここに深く感謝の意を表します。

小売店様向け宝石の知識「宝石大国・インド1」

宝石大国・インド1

インドは宝石大国である。

インド政府発表の貿易統計によると、ダイヤモンド及び宝石類の輸出入額は同国の全商品の中でもトップクラスに位置している。アラビア海に面したインド西部のメトロポリタンであるムンバイ(旧ボンベイ)と姉妹都市スーラトはダイヤモンドの一大取引・研磨加工地だ。両市は世界有数のダイヤモンド研磨加工センターとなっている。別にカラーストーン研磨加工及び宝石装身具加工では、インド北部のジャイプールが有名だ。

インドはゴールド消費大国でもある。結婚の際に必要とされる金の量はかなり膨大で、花嫁が身につけるゴールド・ジュエリーは大変な量である。インドの人々の金嗜好はかなり根強く大きいものがあり、彼等の金消費量の動向は世界の金市場相場に影響を与えるほどである。

さて現在インドは、ダイヤモンドの研磨加工地として世界最大級で、日本に輸入される研磨済みダイヤモンドの多くはインドからである。わが国輸入通関統計によれば、量的には全輸入量のざっと約70%、金額的には全輸入額の約40%に近い。これはインドから日本に入ってくる研磨済みダイヤモンドが、商品として評価が高く、市場競争力があり、消費者ニーズに適合していることを意味している。

しかしながら輸入されるダイヤモンド原石は、もはやインド産ではない。原石の多くはロンドンのダイヤモンド販売会社であるDTC(ロンドン市ハットン・ガーデン街)に正式登録されたインド系サイト・ホルダーから調達されたものが中心である。ダイヤモンド原産地はアフリカ、ロシア、オーストラリアなどである。そこのダイヤモンド鉱山から産出したダイヤ原石がインドに輸入され研磨加工され宝飾用として、日本、香港、アメリカ、ヨーロッパの消費国へ再輸出されるのである。

ダイヤモンド原石がロンドンDTCに集散し、4大研磨加工地を経て、宝飾用ダイヤモンドとして最終消費者に届く経路は複雑多岐である。この流通経路の中でインドの役割と地位は、現在では非常に重要かつ大きな存在である。まさに宝飾用の研磨済みダイヤモンド取引の一大センターといえる。

ダイヤモンドの研磨加工及び取引センターは、インドのほかにベルギー(アントワープ市ペリカン・ストラウト街)、イスラエル(テレアビブ市ラマットガン街)、アメリカ(ニューヨーク市5番街47丁目通り)、タイ(バンコク)、香港、ロシア、オランダ、中国などがあり、インドと同じく活発である。

ムンバイ(旧名ボンベイ)はベンガル湾に面した西インドの玄関口、貿易の中心地であり、経済、文化の大都市である。同市(マリーン・ドライブ/フォート地区)は、ダイヤモンド商人が集積していて、同国の宝飾用研磨済みダイヤモンド取引の95%を占める。

このムンバイのダイヤモンド商のために、宝飾用ダイヤモンドの研磨加工を一手に担っているのがスーラトで、両市はダイヤモンドの研磨加工・貿易で相互依存の関係にある。

スーラトはムンバイの北200kmに位置し、同市バラチャ街はダイヤモンド研磨加工場群の集積地で、ムンバイのためにダイヤモンドの研磨加工を担う宝飾用ダイヤモンド供給の後背地である。ここスーラトには何十万人のダイヤモンド研磨工が働いているといわれる。

世界の研磨済みダイヤモンドの4大取引センターは、インド、ベルギー、イスラエル、米国である。それぞれに商品的市場的長所がある。各地特有の研磨加工技術を持ち、得意の商品分野を有し、世界ダイヤモンド市場をうまく住み分けているようだ。

今日ダイヤモンドは宝石の王様として、宝石市場でトップの座を占めているが、永い宝石の歴史の中では新参の範疇に属する。むしろルビー、サファイア、エメラルドなど色や光彩が美しいカラーストーンが、むかしは優位にあり珍重されていた。それはダイヤモンドが原石のままでは光らず、硬すぎて研磨が出来なかったからである。

18世紀にブラジルがダイヤモンドの産出国として台頭してくる以前は、インドがダイヤモンドの唯一の産地であって、ヨーロッパへの一大供給源であった。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊

平成20年宝石学会(日本)「こはく、コパルの加熱実験レポート」

藤田 直也

最近こはく、コパルに関する話題が多く見受けられます。実際にみたこともないような商品が鑑別に持ち込まれるケースも増えてきました。こはく・コパルは化石化した樹脂であり、有機物なので様々な方法で加工が行われることが容易に予想できます。
以前にも本誌でこはく、コパルに関する実験の報告を致しましたが(134号参照)、今回はさらに違った手法で実験しましたので、その結果を報告致します。

実験その1 加圧加熱実験

写真1 加圧加熱実験装置

写真1 加圧加熱実験装置

こはく、コパルに圧力をかけた状態で加熱するとどのように変化するのかを実験しました。実験器具は家庭用の圧力鍋を用い、120℃で2時間、2気圧をかけて加熱しました(写真1)。
圧力鍋の中は常に高温、高圧の水蒸気で満たされた状態です。

使用したサンプルは、すでに加熱を受けているバルチック産のこはく(写真2、上2個)と、気泡の多いバルチック産のこはく(写真2、下2個)、産地不明のコパル(写真3)の3種類でした。

写真2 加圧実験前の加熱こはく(上)気泡の多いこはく(下)

写真2 加圧実験前の加熱こはく(上)
気泡の多いこはく(下)

写真3 加圧実験前のコパル

写真3 加圧実験前のコパル
 

2時間加熱した後取り出してみると、写真4のようになっていました。上2個のすでに加熱を受けているバルチック産のこはくは、かなり褐色になっています。下2個の気泡の多いバルチック産のこはくは全体的に白くなり、産地不明のコパルは変形しました(写真5)。

写真4 加圧実験後の加熱こはく(上)気泡の多いこはく(下)

写真4 加圧実験後の加熱こはく(上)
気泡の多いこはく(下)

写真5 加圧実験後のコパル

写真5 加圧実験後のコパル
 

コパルの耐性はこはくに比べると弱く、加圧してある場合、割と低い温度で容易に変形してしまうことがよくわかります。また、コパルは色も少し褐色になりました。
では、すでに加熱を受けているこはくは褐色化が進むのに対し、同じ産地でも気泡の多いものは白くなっているのはなぜでしょうか。
この実験では高圧下の水蒸気がこはくの表層に何らかの影響を与え白く変質したのだと思われます。すでに加熱を受けているこはくは、もともと加熱されていたためにそのような反応は起こらず、熱による褐色化がよりすすんだだけだと考えられます。

実験その2 減圧加熱実験

写真6 減圧加熱実験装置

写真6 減圧加熱実験装置

次に、減圧して加熱するとどうなるのか実験してみました。実験装置は、凍結・乾燥用真空冷却・加熱装置(10008型・リンカム社製)(写真6)を用いました。この装置は、ラマン分光分析で冷却測定を行う際に使用する装置なのですが、冷却だけではなく加熱にも用いることができ、また-190℃まで冷却できる装置ですので、試料の周囲を真空にすることもできます。使用したサンプルは先ほどとほぼ同じで、すでに加熱を受けているバルチック産のこはく(写真7、上2個)と、気泡の多いバルチック産のこはく(写真7、下2個)、産地不明のコパル(写真8)の3種類で、150℃で2時間、真空の状態で加熱しました。

写真7 減圧実験前の加熱こはく(上)気泡の多いこはく(下)

写真7 減圧実験前の加熱こはく(上)
気泡の多いこはく(下)

写真8 減圧実験前のコパル

写真8 減圧実験前のコパル
 

加熱したあと取り出してみると、写真9、10のようになっていました。産地不明のコパルは、減圧した状態でも変形しました(写真10)。このことから、コパルは加圧、減圧どちらの状態においても、ある程度の熱が加われば変形することがわかります。表面は加圧加熱したときに比べるとそれほど変質していないように見えましたが、少し変質していました。
こはくに関しては、減圧して加熱するとこはく自体がやわらかくなり、中に入っている気泡が外に出て気泡が少なくなると予想していましたが、今回の実験では逆に気泡が大きくなっていました。気泡の多いバルチック産のこはくは気泡があつまり大きくなっていましたが、もともとほとんど気泡のみられなかったすでに加熱を受けているバルチック産のこはくにまで、顕微鏡で拡大すると確認できるほどの大きさの気泡がみられました。これは加熱する時間が2時間と短すぎたため、気泡が外に出る段階の前、つまり気泡が集まっているところで時間切れになってしまったのではないかと思われます。また、写真ではわかりにくいですが、どちらのこはくも色の褐色化が少し進んでいました。

写真9 減圧実験後の加熱こはく(上)気泡の多いこはく(下)

写真9 減圧実験後の加熱こはく(上)
気泡の多いこはく(下)

写真10 減圧実験後のコパル

写真10 減圧実験後のコパル
 


実験その3 放射線処理実験

写真11 放射線照射装置

写真11 放射線照射装置

最後に、こはくに放射線を当てるとどのように変化するのかを実験してみました。放射線の照射実験は、当社のラボでも行うことが出来ないため、日本原子力研究開発機構の高崎量子応用研究所で実験を行いました(写真11)。線源にはコバルト60を用いて、それぞれ15kGy(キログレイ)、30kGy、60kGy、120kGyの放射線を照射しました。今回も3種類のサンプルを用意しました。

写真12の4個がすでに加熱を受けているバルチック産のこはく、写真13の4個が気泡の多いバルチック産のこはく、写真14が産地不明のコパルです。

写真12 放射線実験前の加熱こはく

写真12 放射線実験前の加熱こはく

写真13 放射線実験前の気泡の多いこはく

写真13 放射線実験前の気泡の多いこはく

写真14 放射線実験前のコパル

写真14 放射線実験前のコパル

照射実験の後取り出してみると、写真15~17のようになりました。どの石も右に行くほど放射線を照射された量が多くなっています。すでに加熱を受けているバルチック産のこはくおよび気泡の多いバルチック産のこはくはかなり褐色化が進んでいました。どちらも照射を受けた量に比例して褐色化が進んでいることがわかります。コパルも同様に褐色化が進んでいますが、実験その1・その2と一番異なる点は、コパルが原型をとどめている点にあります。これは、コパルが放射線では軟化しないことを表しています。

写真15 放射線実験後の加熱こはく

写真15 放射線実験後の加熱こはく

写真16 放射線実験後の気泡の多いこはく

写真16 放射線実験後の気泡の多いこはく

写真17 放射線実験後のコパル

写真17 放射線実験後のコパル


今回の実験結果

1.水蒸気で満たされた状態で加圧、加熱を行うと、表面が白くなるものがあるということです。この表面についた白い物質を赤外分光光度計(FT-IR)を用いて計測すると、構造はこはくのままでした。まったく別のものに置き換わったというわけではなさそうです。

2.コパルは熱に弱いということです。減圧した場合でも、加圧した場合でも、外形がかなり変形しました。表面も少し変質している箇所がありましたが、FT-IRを用いて計測すると構造はコパルでした。

3.減圧して加熱する場合、ある程度長い時間をかけないと気泡は逆に大きくなってしまうということです。もう少し温度を上げればこはくがより軟化し、気泡が外に出る時間も短縮されるかもしれませんが、温度を上げる分だけ褐色化もより進むことが予想されます。

4.こはくにある程度強い放射線を照射すると、褐色化が進むということです。ただ、加熱処理と違い放射線を照射するにはある程度の施設が必要であり、加熱処理で十分な効果が得られるのであれば、加熱処理を選択したほうが賢明だと思われます。

5.コパルにある程度強い放射線を照射すると、原形をとどめたまま褐色化が進むということです。またその褐色化は、照射した量に比例して強くなりました。これは他の実験ではなかった効果です。しかし、構造はコパルのままでしたので、耐久性には難があるといわれても仕方がないと思われます。

こはく、コパルは宝石の中でも大変特殊なものであり、これからも様々な処理が行われていくと考えられます。こはく、コパルの性質を正確に把握するためにも、今回のような実験を重ねていくことで、鑑別方法の確立の一助になればと思います。

注意

今回の実験は十分安全な環境において行われております。個体によっては、内部の気泡等が加熱時に破裂し、やけどを負う恐れもありますので、決して真似をしないようお願いいたします。

小売店様向け宝石の知識「エナメル3」

エナメル・THE ENAMEL 3

日本ではエナメルは七宝焼と呼ばれ、日本古来の焼き物と思われているようだ。しかし実はすでに紀元前1700年頃の古代メソポタミアや紀元前1500年頃の古代エジプトでエナメル宝飾品が作られており、遺跡からたくさんのエナメル宝飾品が発見されている。

ヨーロッパでは、ビザンチン時代にキリスト教の教会聖具にエナメル装飾が施されて盛んに生産されていた。当時フランスのリモージュ地方はエナメル加工の中心地として繁栄し、ここからヨーロッパ全域にエナメル宝飾技術は伝播していった。

東洋へはシルクロードを通って、中国・朝鮮を経て日本に伝わったと考えられる。中国では唐時代から七宝焼が見られ、明時代に盛んになり、その当時の技術が現在も温存され生産されている。日本では七宝焼は奈良時代の明日香村古墳の中から発見されており、正倉院南倉の御物なかに七宝焼が施された鏡などがある。この七宝焼デザインは、現在皇居の新宮殿に、これを模したものが壁飾りになって使われている。

ここで七宝焼の歴史について考察してみよう。七宝という言葉は仏教に由来する。仏教といえばインドである。古代からインドは宝石の宝庫であった。仏典によれば、十四種類の宝石があったことが記されている。古来、財宝の一番上の位置にあるのは金、銀であり、宝石の中では、サファイアが最高のあこがれであった。当時ダイヤモンドはずっと下位にランクされていた。何故ならダイヤモンドは硬すぎて研磨する方法がなかったからだ。ただし、ある方向に割れる劈開(へきかい)の性質は知られていたようだ。

そして、これらの多くの財宝・宝石の中から代表として七種が選ばれ、七宝(しっぽう・ただしくはしちほう)と呼び、これを人々は無上に尊んだのである。七宝とは、金、銀、瑠璃(るり)、しゃこ、瑪瑙(めのう)、琥珀、真珠などのことである。

仏典の一節には、「極楽浄土は、七宝の池あり八功徳水が充満し、底は金をもって敷けり。四辺には、金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、しゃこ、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)など七宝樹林に囲まれ、白色、赤色、青色、黄色など虹色に光り輝けり。極楽は、功徳荘厳なり」と記されている。釈迦は、人々が求める七つの財宝に托して、人の世の教えを導かれたという。七種の宝物(七宝)は仏教経典により差異がある。

古来日本では、金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)、真珠などは、宝玉・宝物・財宝ということで,今日的な宝石という意味ではないようだ。非常に珍しい物という意味で、七珍(しちちん)ともいわれる。因みに、わが国で宝石という概念が出てきたのは文明開化した明治以降で、その価値が世の中に次第に分ってきたのは昭和に入ってからだ。ほんとうに宝石とは何か、宝石の知識・情報が一般の人々に浸透し、宝石について基本価値が確立したのはここ過去60年間で、実に戦後からといえる。

わが国には、昔から石にはアニミズム(Animism)の対象として神霊が宿るという万有霊魂説があり、石の宗教があった。珍しい石を集め、床の間や神棚にお供えする習慣があったようだ。石は「いわう」を意味し、神を祭り祝うことがなまったものである。石の神は人の幸せをもたらす。「人」と「石」の縁起は昔から伝承されている。

さて、わが国の七宝焼は平安時代から中世まで作品はほとんど残っていない。桃山時代に入ると盛んに作られるようになり、慶長年間(1596~1615)、京都の平田彦四郎道仁は朝鮮半島の工人から七宝焼の技法を学んだといわれ、名古屋城のふすまの引き手、釘隠し、刀のつばなどに名作がある。平田道仁は、江戸幕府のお抱えの七宝師として刀剣小道具などの七宝装飾品の製作に活躍した。平田家は実子のうちのひとりだけに奥義を伝える門外不出の一子相伝とし、十一代にわたり、七宝焼の秘法を家伝として明治以降まで代々継承した。初代の道仁、通称彦四郎の名前は平田家代々に襲名された。近世の七宝は象嵌七宝がほとんどだが、平田家では模様の中に金線を取り入れて、有線七宝〔クロワゾネ〕にあたる技法や、透明な釉薬を新しく使い、当時としては革新的技術を独自開発していた。

十代目平田彦四郎道仁は、明治政府から特注を受け、日本の七宝勲章第一号の旭日章を鋭意製作し、その出来栄えは素晴らしかった。現在のメダル・バッジの七宝技術発展に大きく寄与した。またその後の七宝焼ジュエリーへの道を拓いた功績は大きい。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊

ワールドニュース(2008.11)

いま宝飾業界は未曾有の不況の中ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今回は世界3大油絵生産地である中国編深市「大芬村(だいふんむら)」についての掲載とクリスマスを目前に控え緊急企画のご提案です。

中国 深市編

市(しんせんし)は中華人民共和国広東省の省都・広州市から南南東に位置する副省級市であり、珠江デルタ地域に含まれる。現在、深市は羅湖区・福田区・南山区・塩田区・宝安区・龍崗区・光明新区の7つの区を管轄している。香港の新界と接し、総面積は1,952.84平方キロメートル、うち経済特区は395.81平方キロメートル(東京23区の約半分)である。2007年深市の常住人口は約861.55万人であり、一人当たり国内総生産額(GDP)は10,628米ドルにのぼり、中国では、香港(23,125米ドル)・マカオに次いで所得が高く中国国内都市の首位となった。貿易輸出額は1,673億米ドル、前年比22.9%増加で、15年連続で全国のトップをキープしている。

中国 大芬油絵村編

大芬村の中心にある印象派や現代美術の大壁画

大芬村の中心にある印象派や現代美術の大壁画

大芬村(だいふんむら)は、中国深市龍崗区布吉にある市制の下の行政区域。1989年に香港の画商が家賃の安さと輸出の便利さに着目し、画工十数人を使って生産を始めた。程なくして安価な油絵は評判を呼び、工房は次々に増え続けた。面積わずか4平方キロメートルの場所に当初200人程度だった人口は、現在では画廊や工房など700軒が密集、画工3,000人が住み着き、日夜、名画の写真を見ながら複製画を描き続けている。表通りは洒落た画廊街となった。
美術工芸を通じて現在10,000人を超える人口に成長した「大芬油絵村」は、数年前、村おこしの成功例として中国政府から「文化発展モデル基地」に指定され、福建省蒲田市・福建省アモイ市の烏石浦村と並ぶ、世界3大油絵生産地のひとつとなった。
西洋油絵の複製作品を作ることは特に有名であるが、模写に問題のない著作権の保護期間を過ぎた印象派やゴッホ、ゴーギャンらの作品(著作権の保護期間は作者の死後50年)や、それに混じってピカソなど死後50年未満の作品や現代作家の作品の模写もたくさんあり、これらは明らかに著作権法違反である。しかし、複製画としての出来栄えはどれもすばらしいものであった。

画商の販売現場

画商の販売現場

大芬油絵村の入口の巨大モニュメント

大芬油絵村の入口の巨大モニュメント


クリスマス緊急企画のご提案

現在、私ども宝飾業界は未曾有の不況に陥っています。その中で価格の改定や新商品の開発を行ない店頭の活性化を図っておりますが、それもお客様には届いておらず来店数には結びついていないのが現状ではないでしょうか。ただ結婚関連商品エンゲージ・マリッジリングは2010年の結婚数の頂点までは、現状維持か微増を確保できるアイテムだと思います。しかし2010年以降は少子化による婚姻数の減少で、売上減少は免れないというのが大方の予想です。そこで宝飾業界の皆様に新しい提案がございます。昨年、始まりましたプロポーズ・アゲインに続き、結婚何年目かにかかわらず、夫婦が再び愛を誓い合う「バウ・リニューアル」というお客様にストーリーを提案できるセレモニーのご提案です。是非、結婚関連商品エンゲージ・マリッジリングをお取扱店の皆様は、ご結婚されるカップルの皆様にご両親へのプレゼントとしてご提案され販売増を目指し、お取扱のないお店の方々は、幅広い世代に提案できるアイテムとしてはいかがでしょうか?私は2006年に実際にハワイでそのセレモニーに参加してまいりました。結婚11年目ではございしたが、新たな気持ちが生まれ、非常に素敵な思い出となりました。

バウ・リニューアルとは ~いつでも何年目でも新たな誓いを~

結婚何年目かにかかわらず、夫婦が再び愛を誓い合うセレモニーが「バウ・リニューアル」です。欧米では夫婦のロマンティックなイベントとなっていて、ハワイなどのリゾート地でも幅広い年齢層のカップルがこのセレモニーを行っています。近年、日本人カップルにも広まってきたこのセレモニーは、ニ人の大切な記念日はもちろん、バカンス中の一イベントとして、また友人の結婚式でハワイなどのリゾート地に来たときなど、いつでも気軽に行えます。海外で挙式するのなら、ぜひ両親にも「バウ・リニューアル」をプレゼントしてはいかがでしょうか。親子2世代でのセレモニーは、家族の絆もより強まって感動もいっぱいです。「バウ・リニューアル」は、生涯忘れられない思い出のひとつになるでしょう。

セレモニーでは誓いの言葉を交わし、指輪やレイを交換

「バウ・リニューアル」はどこで行うかによって、内容にも多少違いがありますが、牧師さまや神父さまの前でカップルが誓いの言葉を述べて、リングやレイの交換を行うのがセレモニーのハイライトです。そして最後に、立ち会った牧師さまや神父さまのサインと日付の入った証明書に、自分たちも署名して受け取るのが一般的です。セレモニーの雰囲気を温かく盛り上げるものとして、音楽の生演奏や、カップルでのダンスなどが行われることもあります。ニ人が新しい人生へと歩み始めた結婚式当時の思い出や、これまでのニ人の日々への感謝、そして今、最愛のパートナーとニ人でいることの喜びが、きっと胸にこみ上げてくることでしょう。(ハワイ州観光局より)




弊社では、新商品企画バウ・リニューアルダイヤモンド®をペアリングにセッティング或いは、御社のオリジナルデザインを作成してお届けいたします。詳しくは、下記弊社木村宛にご連絡ください。

アイスブルーダイヤモンド企画・開発プロデューサーが本当にお客様にあった商品企画をご提案するために設立したダイヤモンド専門会社
株式会社IBCTOKYO 担当:木村 e-mail: sales@ibctokyo.com
東京都千代田区麹町 TEL : 03-3556-1481 FAX : 03-3556-1482 
www.ibctokyo.com

平成20年度宝石学会(日本)「MexiFire及びPeruBluと呼ばれる合成オパールについて」

江森 健太郎

写真1 MexiFire(左)と PeruBlu(右)

写真1 MexiFire(左)と PeruBlu(右)

タイのRMC Gems Thai社から新しいタイプの合成オパールが市場に出されています(写真1)。これらはこれまでの合成オパールに見られたような遊色効果は無い、所謂コモンオパールで、オレンジとブルーの2種類がそれぞれMexiFireとPeruBluという商品名で販売されています。
今回、これら2種類の合成オパールを検査する機会に恵まれ、全国宝石学協会の小林泰介さんと阿依アヒマディさんと共同で研究した結果を平成20年度の宝石学会(日本)福岡総会で報告しました。

宝石学的特性

MexiFire、PeruBluの外観および屈折・比重・蛍光は以下の通りです。

MexiFire

外 観:オレンジ色を呈し、遊色効果は示さない。キズのないメキシコ産天然ファイア・オパールに酷似する。透明度が高く、ガラス光沢をしている。
屈折率:1.35
比 重:1.57(静水法)
蛍 光:長波紫外線下で微青白色、短波紫外線下で微黄緑濁

PeruBlu

外 観:エレクトリックブルーと称されるような彩度の極めて高いブルーで遊色効果はない。
屈折率:1.39
比 重:1.75(静水法)
蛍 光:長波・短波紫外線下で共に不活性

拡大検査

拡大観察では、密度が高く散在した微小インクルージョンによるクラウドと気泡が石全体にみられました(写真2・左)。また、天然オパールでは観察されない微細な波状成長構造が認められます(写真2・右)。
今回観察した合成オパールは遊色効果を持たないコモンオパールであり、京セラやギルソン製の合成オパールに見られるようなリザードスキンは認められませんでした。

写真2 拡大検査で観察される小さな気泡(左)と波状成長模様(右)

写真2 拡大検査で観察される小さな気泡(左)と波状成長模様(右)

分光検査

近赤外領域のスペクトルでは、MexiFireには天然ファイア・オパールには見られない約2260nmの位置に強い吸収があり(図1・左)、PeruBluでは天然ブルー・オパールとの差は見出せませんでした(図1・右)。しかし、MexiFire、PeruBluともに通常の合成オパールには見られない水や水酸基に伴う吸収が認められ、極めて天然オパールに類似することがわかりました。

図1 近赤外領域のスペクトル(左:MexiFireと天然ファイア・オパール、右:PeruBluと天然ブルー・オパール)

図1 近赤外領域のスペクトル
(左:MexiFireと天然ファイア・オパール、右:PeruBluと天然ブルー・オパール)

FT-IR(赤外分光分析)では、MexiFireの透過スペクトル及び反射スペクトルは一般的なオパールに酷似します。しかし、透過スペクトル中の吸収ピークを細かく観察すると、天然ファイア・オパールは弱い吸収ピークが約4500cm-1に出現するのに対し、MexiFireは約4420cm-1に強い吸収と約4500cm-1に弱い吸収があることがわかります(図2)。

図2 MexiFireと天然ファイア・オパールの赤外領域スペクトル

図2 MexiFireと天然ファイア・オパールの赤外領域スペクトル

成分分析

この2種類のオパールについて、蛍光X線装置による成分分析を行ったところ、MexiFireは主成分である珪素の他に微量の鉄が、PeruBluは珪素の他に微量の銅が検出されました。その他の特徴のある成分はどちらのオパールにも見出せませんでした(図3)。

図3 蛍光X線分析チャート(左:MexiFire、右:PeruBlu)

図3 蛍光X線分析チャート(左:MexiFire、右:PeruBlu)

また、LA-ICP-MS(レーザー・アブレーション誘導結合プラズマ質量分析)による微量分析を行ったところ、着色元素である鉄と銅以外では両色のオパールに、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ストロンチウム、ロジウム、すず、鉛が検出されました。天然ファイア・オパール、天然ブルー・オパールにはこのタイプの合成オパールには検出されない、ベリリウム、バナジウム、ガリウム、ストロンチウム、ウランなどの微量元素があり、天然と合成でマグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、亜鉛の元素の含有量に差異があることがわかりました。

走査型電子顕微鏡による観察

写真3 PeruBluの後方散乱電子像

写真3 PeruBluの後方散乱電子像

写真4 PeruBluのFE-SEMを用いた二次電子像(x100,000)

写真4 PeruBluのFE-SEMを用いた
二次電子像(x100,000)

PeruBlu1点を2つに切断し、走査型電子顕微鏡(HITACHI-S3000H)を用いて観察しました(写真3)。この写真は後方散乱電子像で観察したものです。後方散乱電子像は、組成の違いをコントラストで現す像です。このPeruBluの後方散乱電子像はコントラストが均一であることから、このオパールの組成は均一であることがわかります。

また、この断面をフッ酸とメタノールの混合溶液でエッチングした後、電界放射型の走査型電子顕微鏡(FE-SEM)の二次電子像で観察しました(写真4・10万倍)。この写真より、このオパールが小さな粒状のもので構成されていることがわかります。この粒はオパールを形成する珪酸球で、スケールより、この珪酸球は10nm程度の粒径であることがわかります。通常、遊色効果を持つオパールは200nm程度の粒径を持ち、規則的に充填されています。遊色効果はこの粒径と規則性によって起こるものですが、このPeruBluは粒径が10nm程度と非常に小さいことが遊色効果を持たない理由になります。


 

X線粉末回折による実験

このPeruBluの珪酸球の構造を調べるために、(銅をターゲットにした)X線粉末回折実験を行いました。得られたチャートを下に示します(図4)。2θが21.8゚あたりのピークがブロードになっています。また、31.3゚、35.5゚、48.1゚に強いピークが観測されます。21.8゚あたりのピークがブロードであることは、このオパールはOPAL-A、つまりこのオパールを構成する珪酸球は非晶質であることがわかります。しかし、非晶質なオパールの場合、今回観測された31.3゚、35.5゚、48.1゚のあたりのピークは出ません。これらのピークはOPAL-C、OPAL-CT(クリストバライト、トリディマイト等結晶質な珪酸球で構成されたオパール)では観測されるものですが、OPAL-C、OPAL-CTの場合、21.8゚のピークは通常シャープになります。
なぜ、このようなピーク形状になってくるのか、まだわかりません。このオパールを形成する珪酸球はほとんどが非晶質ですが一部クリストバライト、トリディマイトが含まれている可能性があります。

図4 PeruBluのX線粉末回折チャート

図4 PeruBluのX線粉末回折チャート

溶液による実験

PeruBluを過酸化水素水に漬けたところ、反応を起こしました。PeruBluは元々エレクトリックブルーと称されるような彩度の強い青色を呈するのですが、過酸化水素水につけることによって、深緑色に変化しました。この変化は非常に早く、ものの数分で変色してしまいます。しかし、この深緑色になってしまったPeruBluは、時間を置くとある程度の青色を取り戻していきます(写真5)。しかし、完全に元の色に戻るわけではありません。

図5 PeruBluを過酸化水素水につけた際の色変化

図5 PeruBluを過酸化水素水につけた際の色変化

このPeruBluの過酸化水素水による色の変化のメカニズムは、硫酸銅水溶液に過酸化水素水を加えた場合に起こる現象と同じだと思われます。
まず、硫酸銅水溶液に過酸化水素水 (H2O2) を加えると、酸素を発生しつつ、色が深緑色にかわっていきます。この際、Cu2++ H2O2→ [Cu(H2O)]2++ (1/2)O2↑という反応がおこります。硫酸銅溶液中の銅はCu2+として存在し青色ですが、[Cu(H2O)]2+ は深緑色です。
この [Cu(H2O)]2+ は不安定な存在で、容易に分解し、[Cu(H2O)]2+→ Cu2++ H2O と元の青い Cu2+ に戻ります。
今回のPeruBluでも同様の反応が起こっていると推測され、これはこのPeruBluに含まれる銅は珪酸球中の不純物として存在しているのではなく、オパールに含まれる水の中にイオンとして存在し、青色を発色しているものと推測されます。

まとめ

RMC Gems Thai社が新しく製造販売している2種類のオパールMexiFire、PeruBluの2点についての特性は上記にまとめた通りですが、天然のファイア・オパール、ブルー・オパールと比重、屈折、拡大検査などで容易に区別可能です。また赤外、近赤外の領域の分光チャートでも天然、合成に差異があり、鑑別の際の手助けになります。
今回、PeruBluの構造について調べた結果、珪酸球の粒径は10nm程で、非晶質なものがほとんどですが、中にはクリストバライト化しているものも含んでいる可能性があります。なお、このPeruBluが遊色効果を持たない理由は珪酸球の粒径が非常に小さいからだと考えられます。
また、PeruBluの発色原因がオパール中の水の中に溶けている銅イオンであるため、このPeruBluは銅イオンの存在する溶液中で、コロイド状のシリカを沈殿させ、生成したものであると推測されます。
今回MexiFireについては構造等調べていませんが、おそらく同様のものであると推測されます。

今回の研究では、京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室鉱物学研究室の北村雅夫教授、下林典正助教授、三宅亮助教授の協力で、走査型電子顕微鏡「S-3000H(HITACHI)」とX線粉末回折装置を使用させていただき、研究上重要な助言をいただきました。それぞれ感謝を申し上げます。

小売店様向け宝石の知識「エナメル2」

エナメル・THE ENAMEL 2

ジュエリーにつかわれるエナメルは、技術的には、熱で溶かして貴金属性の装飾品などに融着させたガラス質のことをいう。粉末のガラス質の顔料であるエナメルで金や銀の金属板の表面に絵を描がいて、焼き付けるなど多様な技法がある。その歴史は古代エジプト、ギリシャまでさかのぼることができる。19世紀後半には,ルネサンス様式に着想を得たジュリアーノ一族などによってエナメルの重ねづかいが復活した。また、スイスのジュネーヴのスイス・エナメル、フランスのリモージュ地方を中心とするリモージュ・エナメルが欧米で人気を博し、やがて世界中に伝播した。

19世紀末に現出したアールヌーヴォー時代には透明なエナメルがさかんに用いられた。金の台板にダイヤ、色石など宝石や真珠をはめ込み、背景にエナメルで美しく装飾されたエナメルジュエリーが大流行した。

エナメルジュエリーの発展の跡は、宝飾の歴史の跡をたどるとかなり正確にたどることができる。古代には色のついた石が装飾に使われ始めた。ついで金属に色のついた石を取り付けて飾るようになったと考えられる。おおざっぱに磨いた色のついた石はやがて金属の板に、現在のようにベゼル(Bezel:宝石の小斜面のことで、指輪の宝石のはまるところ、別に時計のガラスのはまる斜面やみぞを指す)に保持され、その後の技術開発によって金属ベゼルに宝石や真珠、さらにエナメル装飾がほどこされるに至った。その後エナメル技術の開発が進み、クロワゾネ(有線七宝)が開発されたと思われる。

2008年秋冬向けのパリ・コレのファッションショーでは、有名デザイナーのきらびやかな衣裳の新作発表にあわせて、衣裳を飾るアクセサリーやジュエリーも同時発表され、大胆な極彩色のエナメルジュエリーも特別発表されていたのがひときわ目立った。

エナメルは、古代には陶磁器やガラスなどが下地に使われたが、その後19世紀以降は下地に金属が使われるようになった。とくに純金や純銀を下地に使うとエナメルは相乗効果が出て一層美しくなり上品に仕上がる。純銅も下地としてよく使われ、コストがかからず、加工作業がやりやすいので重用されてきた。

エナメルの美しさ、透明さ、純度をより向上させるためには、エナメル加工作業場空間の清潔さが不可欠だ。エナメルの加熱温度は850度で何度も行うので作業は手間がかかり、細心の注意力が要求される。中国のエナメル職人たちがいうには、少なくとも7回以上もエナメルの上塗りを繰り返し焼く作業を行う。宝物を7回焼くので七宝焼というそうである。それほど手間のかかる加熱作業である。エナメル製品の磨きは熱磨き(Fire Polishing)という方法で行うが、これはエナメルを十分に熱して、その表面が流れて滑らかに仕上げるためである。もっと効果のある方法として、さらに機械研磨をかけたりする。

アンティークジュエリーに見られる手造りエナメル技法の主要タイプは、[1]クロワゾネ(CLOISONNE):金属地金の上に、金属の針金を注意深く望みのデザインに形作ったものをハンダ付けして作ったセルにエナメルを埋めて装飾する技法。日本の有線七宝はこれに属する。[2]プリカジュール(PLIQUE-A-JOUR):これはすかし細工のタイプで、七宝の仕切りストリップを使うが金属のバックはない。金属板の上にエナメルを焼きつけその後金属板を取り除くことで、透明な着色エナメルがストリップの間に保たれてステンドグラス窓と同じようになる。[3]シャンルベ(シャンルーヴェ)(CHAMPLEVE):シャンルベ・エナメルでは、エナメルを保つ地金のセルは彫り込んだり形作ったり、酸で金属をエッチングしたりし、そうして出来たくぼみやみぞをエナメルで埋める。セルの作りを細密に作れば、出来上がった模様デザインが七宝とほとんど同じである。シャンルベの動詞はフランス語で“彫り込み”を意味する。[4]ロンドボス(RONDE BOSSE):純金でできた立体像の表面全体に、エナメルを施す技法。

エナメルジュエリーの品質判定は、[1]エナメルの色の強さと純粋さ[2]デザインの美しさと金属細工の出来栄え[3]エナメルの磨きの素晴らしさで決まる。

エナメルジュエリーの澄んだ色彩、スカッとした色合い、明るい透き通った色、デザインのすみずみまで鮮明でカッチリとした仕上がりは、エナメル宝飾品の美的独壇場である。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊

平成20年宝石学会(日本)のご報告

平成20年度の宝石学会(日本)講演会・総会が6月14・15日の両日に、福岡市の福岡交通センターホール(大ホール)にて開催されました。東京以外での開催にも拘らず74名もの参加があり、韓国からの発表者もいて、非常に盛況な講演会でした。
6月14日(土)に発表のありました特別講演ならびに一般講演の内容について、講演要旨プログラムより抜粋して以下に紹介致します(○:発表者)。
なお、当中央宝石研究所からは、間中所員・藤田所員・江森所員によりそれぞれ研究成果の発表がありました。発表内容については順次掲載の予定です。

一般講演 1
最新のDTC-DiamondViewTMを用いたダイヤモンドの観察

全国宝石学協会

  ○

川野 潤

 

 

阿依 アヒマディ

一般講演 2
累帯構造を示すグリーンダイヤモンドについて

発表中の間中所員

発表中の間中所員

中央宝石研究所

  ○

間中 裕二

 

 

山本 正博


一般講演 3
Black, Green Colored Diamond Changed by Irradiation

Hanmi Gemological Institute, Laboratory (Hanmi Lab.) 

  ○

Hyun-min Choi

 

 

Young-chool Kim

 

 

Sun-ki Kim

Korea Atomic Energy Research Institute

 

Jea-won Park

GAAJ Research Laboratory

 

Ahmadjan Abduriyim

一般講演 4
久米武夫コレクション(仮称)の紹介

山梨県立宝石美術専門学校  ○高橋  泰

一般講演 5
最近遭遇した“岩絵具”について

聖徳大学 川並記念図書館

  ○

林  政彦

早稲田大学 理工学研究所

 

安藤 康行

一般講演 6
ミャンマー産ルビーのインクルージョンと低温加熱処理における変化

ジャパンジュエリービジネススクール

  ○

奥田 薫

(株)モリス

 

森 孝仁

一般講演 7
Be拡散処理の鑑別 ―最近の進展について―

全国宝石学協会

  ○

北脇 裕士

 

 

阿依 アヒマディ

一般講演 8
“MexiFire”および“PeruBlu”と呼ばれる合成オパール

中央宝石研究所

  ○

江森 健太郎

全国宝石学協会

 

小林 泰介

 

 

阿依 アヒマディ

発表中の江森所員

発表中の江森所員


特別講演
九州の鉱物と九州大学の鉱物標本

九州大学 理学研究院地球惑星科学部門  ○上原 誠一郎

発表中の上原氏

講演中の上原氏

九州の地質から代表的な鉱物および鉱床の説明、帝国大学時代から近年まで九州大学に縁のあった先生方の紹介と九州大学の鉱物標本、特に高壮吉鉱物標本を中心に時間が足りなくなるほど多岐に亘る紹介をして戴きました。


一般講演 9
こはく、コーパルに関する様々な実験結果の報告

発表中の藤田所員

発表中の藤田所員

中央宝石研究所

  ○

藤田 直也

 

 

江森 健太郎


一般講演 10
いわゆる“グリーン・アンバー”についての13NMR及びFTIR分光分析研究

全国宝石学協会  ○阿依 アヒマディ

一般講演 11
タイラギから産出される真珠層構造をもつ天然真珠とその鑑別の試み

東京宝石科学アカデミー

  ○

渥美 郁男

真珠科学研究所

 

矢崎 純子

一般講演 12
着色ゴールド真珠の鑑別法、その沿革と新たな鑑別法について(その2)

(株)海津屋

  ○

中野 雅章

ルミクレコ

 

中川 るみ子

真珠科学研究所

 

佐藤 友恵

一般講演 13
淡水真珠の加工きずについての考察

(株)Le Un

  ○

福田 博美

 

 

徳永 芳子

真珠科学研究所

 

山本 亮

一般講演 14
真珠層形成時における結晶層の厚さ規制とタンパク質仕切り(コンパートメント)の相関についての考察 ―“ツイン珠”生成からの観察―

(有)DHAジャパン

  ○

相川 雄弘

(株)桑山

 

田中 隆行

真珠科学研究所

 

矢崎 純子

一般講演 15
淡水貝の貝殻及び真珠に見られる色素の分泌リズムについての考察

(有)Jプランニング

  ○

仁平 淳子

 

 

仁平 絢子

真珠科学研究所

 

田中 美帆

一般講演 16
真珠の耐汗性処理に関する研究開発

香川大学大学院 工学研究科

  ○

大久保 雄司

 

 

小川 一文

一般講演 17
FE-ASEM観察:衝撃変成炭素、山口県産メノウ鉱物・赤金石・金雲母

山口大学 理工学部  ○三浦 保範

一日目の講演終了後、ホテルセントラーザ博多にて懇親会が開催されました。
講演会での緊張した雰囲気から開放されたせいか会場の雰囲気は終始和やかで、約2時間参加者は話し相手を見付けては鉱物の話しや久しぶりの再会での近況報告など食事や飲み物を取りながら思い思いそれぞれ楽しんでいました。

翌6月15日(日)には見学会が行われました。
見学地が離れているために今回はバスをチャーターし、総勢43名で午前中は九州大学箱崎地区の『高壮吉鉱物標本』を見学させて戴きました。『高壮吉鉱物標本』は大型で豪華な結晶標本を含むことで有名で、日本においては和田標本、若林標本とともに20世紀初期の3大コレクションの一つとされています。午後は国立博物館として東京・京都・奈良に次いで4番目に設立された大宰府にある『九州国立博物館』に向かいました。この博物館は『日本文化の形成をアジア史的観点から捉える』というコンセプトで造られており、アジア各国と日本との文化交流の歴史を、時代やテーマごとに5つのゾーンに分け展示しています。
生憎の雨でしたが、大宰府天満宮まではエスカレーターや動く歩道を完備したアクセストンネルがあるため、雨に濡れずに歩いて10分足らずで天満宮に辿りつけます。参加者の多くは博物館を見学した後、天満宮を参拝したようです。

高壮吉鉱物標本

高壮吉鉱物標本

九州国立博物館

九州国立博物館