Gemmy 153 号 「USAレポート」

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Gemmy 153 号 「USAレポート」

GILC会議

Gemstone Industry and Laboratory Conference(宝飾産業と鑑別機関の会議)が2010年2月1日にアリゾナ州ツーソンで2年ぶりに開催されました。
宝飾業界が国際的に統一した考えを持ち、消費者に対して同じ答えを与えられることを目的にGILCは1992年からこの目的達成のために開かれて来ましたが、近年は活発な議論も少なく、スポンサーも離れたことから、とうとう昨年は開催されずに終わりました。
本年は再びICAが中心となり、これまでの排他的な雰囲気を無くし、誰でも参加できる開かれた会議として、場所もジュエリーショーの出展者が気軽に参加出来るようにAGTAショーが開かれるツーソン・コンベンション・センターに移したため、参加者は100名近くまでに膨れ上がり、大会議室がほぼ満員の状態で会議は朝8時半からスタートしました。
以下は会議の議題です。


議題1:鉛ガラス充填ルビー:呼称についてのディスカッション

ニューヨークの鑑別機関AGLのスミス氏から鉛ガラス含浸ルビーの処理による外観の改変が非常に大きく、ルビーなのか模造石なのかといった呼称の問題および耐久性にも非常に問題があることが提起されました。

議題2:エメラルドの処理の看破と鑑別書についてのアップデート

グベリンラボのキファート女史からエメラルドの含浸に関する処理法及び特徴が説明されました。

議題3:アンデシン:起源、処理、開示に関する論争

全宝協の阿依氏より昨年の宝石学会(日本)で発表した内容に加えてその後の研究により、熱ルミネッセンス分析やICP- MS分析でチベット産天然レッドとモンゴル産の銅拡散処理レッドに違いが発見されたとの発表が行われました。

議題4:トルコ石中のウラニウム鉱物:トルコ石中の異常な黄色斑

GIAのマクルーア氏から中国湖北省(Hubei province)のトルコ石から放射性鉱物が内包物として発見されたとの発表が行われました。

議題5:鉱山から市場に至る色石。倫理的な取引と採掘への取り組

ICA副会長のミシェロブ氏からは、色石の公正取引と倫理的な採掘のための国際的承認システムの概念が提案されました。

議題6:色石の品質基準:宝石取引の機会

タイの鑑別機関GITのワサナクル女史からは、GITで行われているルビー・サファイアの品質分類方法が紹介されました。

以上の議題について個々に討議した結果、GILCのワーキンググループを立ち上げ、そこで対応策をまとめ、来年のGILC会議で発表するということで今回の会議は閉幕しました。