Gemmy 150 号 「小売店様向け宝石の知識「宝石大国・インド5」」

Gemmy


Gemmy 150 号 「小売店様向け宝石の知識「宝石大国・インド5」」

宝石大国・インド5

インドは何世紀もの間、世界唯一のダイヤモンド主要産地であった。ダイヤモンドは、インドで遅くとも3000年前には発見されていた。しかし詳細な記録は長い間存在しなかった。

17世紀に入り、フランスの宝石家であり旅行家タベルニエ・Tabernir,Jean Baptiste(1606-89)は前後6回にわたりインドに旅行し、インドのダイヤモンド産地ゴルコンダを訪れ、ダイヤモンドについて記録を残した。ゴルコンダの町は、古代ダイヤモンドの中心地で、インドが統一される前の独立国家の核でもあった。現代の都市ハイデラバードの西にゴルコンダの要塞が今も残っている。インドの独立国家ハイデラバードは第二次大戦後インドに併合されたが、その前任者ニザムは世界でもっとも裕福なマハラジャであり大富豪として有名だ。その宝物のなかにはゴルコンダのダイヤモンドが大量に含まれていて、ニザム・オブ・ハイデラバードもここにあるといわれる。

現存する世界の有名な大ダイヤモンド(インド産、南ア産)の多くは英国、仏国、米国、露国の博物館や美術館に所有保管されている。

インド産有名ダイヤモンドとして代表的なものは次ぎの通り。

☆ コイヌール(Koh-i-noor)
108.93ct(現在は105.60ct)。別名「光りの山」。
現在、英国ロンドン塔に英国王室の宝石として保管され主要財宝の一つとなっている。

☆ オルロフ(Orlov)
189.60ct。皇帝の王笏(王が最高権力の象徴として戴冠式などで使う。セプター・Scepterとも言う)の頭部にセットされている。モスクワのクレムリン宮殿に展示されている。

☆ リージェント(Reagent)
原石410ct、研磨後140.5ct。ルイ15世の王冠にセットされ、マリーアントアネットが黒色ベルベット帽に着用したともいわれる。ルーブル博物館のアポロンの間に展示されている。

☆ ホープ(Hope)
45.50ct。濃いブルーの美しい色合いのカラー・ダイヤモンド。数奇な運命を経て、現在はワシントン、スミソニアン自然史博物館のジェム・ホールの中央に展示されている。

☆その他のインド産有名な大ダイヤモンド
 グレート ムガール  280.00ct
 ゴルコンダ ドール   95.4ct
 ニザム        277.00ct
 シャー        88.7ct
 グレート テーブル  250.00ct
 ジャハンギル     83.0ct
 ダリャイ ヌール   186.00ct
 アクバル シャー    71.7ct
 フロレンティン     137.27ct
 アイドルズ アイ    70.0ct
 タージ マハル    115.00ct
 サンシー       53.5ct
 ヘイスティングス    101.00ct
 インドール ペア     44.62ct と 44.18ct

閑話休題;昨今の宝飾業界ニュースで元気のある話題。
【1】無料ダイヤ! 銀座に列。佛の老舗5000人に配布。加工費はいただきます……東京・銀座に、ある朝長蛇の列が出現した。銀座5丁目に宝飾店をかまえるフランスの老舗ジュエリーブランドが、この日先着5000人限定で0.1カラットのダイヤモンドの無料配布をはじめたのだ。不況のあおりで低迷が続くジュエリー業界。大胆な企画に同業者の間から驚きや歓迎の声が出た。午前9時の無料配布開始直前には、老若男女約1500人が並び、その後も人が増えつづけ、列はどんどん延びて、警官が出るほどの盛況ぶり。配布したダイヤモンドは、1個5000円相当といい、総額2500万円分。ただし、加工するにはリングで5万円、ペンダントで7万円など、それぞれ料金が必要だ。
【2】銀座のデパートが本真珠の無料つかみ取りセ-ルで集客アップ。
【3】中国からのニュースで高級宝飾品の売上げが好調保つ、明るい話題だ。中国国家統計局は、消費小売売上高の伸びは今年に入って全体で前年比15%アップ。品目別に伸び率をみると、宝飾類(28.7%)自動車類(23.8%)など高額商品が全般に好調と報じている。暗い話題の多いジュエリーの世界を明るくするニュース。ダイヤモンドは現代の人々に、依然として人気があり根強い潜在需要が存在している。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊