Gemmy 147 号 「第55回 ツーソン・ミネラルショー」

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Gemmy 147 号 「第55回 ツーソン・ミネラルショー」

今年で55回目となるツーソン・ジェム・ミネラル&化石ショーは、この手のショーとしては世界一の規模を誇るもので、IJTやJJFのように一箇所で開催されている展示会ではありません。メインのショーの開催は2月中旬ですが、サテライトショーと呼ばれる別の販売会は1月下旬から始まり、この期間は何十ものショーが同時にホテルや普段空き地になっているような場所に巨大な白いテントや展示品ホールが出現し、ツーソンの街全体が宝石、鉱物、化石の買い手と売り手で埋め尽くされます。そこには、金、ダイヤモンドからガラス玉、恐竜の化石からオーストラリアの奥地で掘られたオパールなどありとあらゆる鉱物や宝石が展示されます。

今年も筆者はツーソンに行って参りましたが、例年と比較して、業者以外の入場を厳しく制限しているジェムショーで中心的な立場にあるAGTA、GLDA、GJXなどの展示会はいずれも入場者数が減少しておりました。これは世界的な不況で海外から買い付けに来るバイヤーが激減しているためでしょうか。最高の立地条件にあるホテルアリゾナでのジェムショーは完全に無くなり、数年前に郊外のJW Marriott Star Pass Resort & Spaに場所を移して開催しているGLDAジェムショーも入場者もブース数もまばらです。また、ツーソンジェムショーの代名詞的なAGTAショーではブースの空きが出るようになっており、これら展示会の中で最も盛況であったGJXジェムショーでも入場者数は昨年の半分位に減少しているように見受けられました。一方、人が入っていると言えば入場制限の無い誰でも入れるような大型の展示会場で、それらはエンドユーザーを対象としたビーズや製品を販売するものです。

毎年ツーソン・ジェム・ミネラル&化石ショーでは、新種の宝石や新種の処理石を筆者は鑑別に携わる者として最も興味があり、またいち早くそう言った石を探し回り、入手することが鑑別上非常に有効なためなのですが、ペゾッタイト以来新種の宝石で注目されているものはなく、合成石・処理石にも注目するようなものは出ていませんでした。目新しいと言えばオレンジのカヤナイトがありますが、この石では宝石として用いるには劈開や硬度に問題があります。合成石ではパライバカラーのベリル位でしょうか?米国では昨年ブッシュ前大統領がミャンマー産ヒスイとルビーの輸入を禁止しましたが、ミャンマー産非加熱ルビー・サファイアやヒスイの数は依然として豊富で、以前からツーソンショーではワシントン条約で制限されている象牙類や化石類が多数出展されており、米国の通関検査に対する疑問をツーソンに来るたびに抱かされます。

今回の旅では、鑑別に有用な石や情報も無く、このショーを通じて日本以上に不況下にある米国の現状を感じさせられました。オバマ新大統領の景気対策法が功を奏し、米国のみならず世界景気の立て直しの一歩となることを願います。

弊社のキュービッドケースとGSペットもツーソンに登場

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サボテンの形に似たアメシストのガマ

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