Gemmy 143 号 「平成20年宝石学会(日本)のご報告」
平成20年度の宝石学会(日本)講演会・総会が6月14・15日の両日に、福岡市の福岡交通センターホール(大ホール)にて開催されました。東京以外での開催にも拘らず74名もの参加があり、韓国からの発表者もいて、非常に盛況な講演会でした。
6月14日(土)に発表のありました特別講演ならびに一般講演の内容について、講演要旨プログラムより抜粋して以下に紹介致します(○:発表者)。
なお、当中央宝石研究所からは、間中所員・藤田所員・江森所員によりそれぞれ研究成果の発表がありました。発表内容については順次掲載の予定です。
一般講演 1
最新のDTC-DiamondViewTMを用いたダイヤモンドの観察
全国宝石学協会 |
○ |
川野 潤 |
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阿依 アヒマディ |
一般講演 2
累帯構造を示すグリーンダイヤモンドについて
発表中の間中所員
中央宝石研究所 |
○ |
間中 裕二 |
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山本 正博 |
一般講演 3
Black, Green Colored Diamond Changed by Irradiation
Hanmi Gemological Institute, Laboratory (Hanmi Lab.) |
○ |
Hyun-min Choi |
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Young-chool Kim |
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Sun-ki Kim |
Korea Atomic Energy Research Institute |
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Jea-won Park |
GAAJ Research Laboratory |
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Ahmadjan Abduriyim |
一般講演 4
久米武夫コレクション(仮称)の紹介
山梨県立宝石美術専門学校 ○高橋 泰
一般講演 5
最近遭遇した“岩絵具”について
聖徳大学 川並記念図書館 |
○ |
林 政彦 |
早稲田大学 理工学研究所 |
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安藤 康行 |
一般講演 6
ミャンマー産ルビーのインクルージョンと低温加熱処理における変化
ジャパンジュエリービジネススクール |
○ |
奥田 薫 |
(株)モリス |
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森 孝仁 |
一般講演 7
Be拡散処理の鑑別 ―最近の進展について―
全国宝石学協会 |
○ |
北脇 裕士 |
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阿依 アヒマディ |
一般講演 8
“MexiFire”および“PeruBlu”と呼ばれる合成オパール
中央宝石研究所 |
○ |
江森 健太郎 |
全国宝石学協会 |
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小林 泰介 |
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阿依 アヒマディ |
発表中の江森所員
特別講演
九州の鉱物と九州大学の鉱物標本
九州大学 理学研究院地球惑星科学部門 ○上原 誠一郎
講演中の上原氏
九州の地質から代表的な鉱物および鉱床の説明、帝国大学時代から近年まで九州大学に縁のあった先生方の紹介と九州大学の鉱物標本、特に高壮吉鉱物標本を中心に時間が足りなくなるほど多岐に亘る紹介をして戴きました。
一般講演 9
こはく、コーパルに関する様々な実験結果の報告
発表中の藤田所員
中央宝石研究所 |
○ |
藤田 直也 |
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江森 健太郎 |
一般講演 10
いわゆる“グリーン・アンバー”についての13NMR及びFTIR分光分析研究
全国宝石学協会 ○阿依 アヒマディ
一般講演 11
タイラギから産出される真珠層構造をもつ天然真珠とその鑑別の試み
東京宝石科学アカデミー |
○ |
渥美 郁男 |
真珠科学研究所 |
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矢崎 純子 |
一般講演 12
着色ゴールド真珠の鑑別法、その沿革と新たな鑑別法について(その2)
(株)海津屋 |
○ |
中野 雅章 |
ルミクレコ |
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中川 るみ子 |
真珠科学研究所 |
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佐藤 友恵 |
一般講演 13
淡水真珠の加工きずについての考察
(株)Le Un |
○ |
福田 博美 |
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徳永 芳子 |
真珠科学研究所 |
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山本 亮 |
一般講演 14
真珠層形成時における結晶層の厚さ規制とタンパク質仕切り(コンパートメント)の相関についての考察 ―“ツイン珠”生成からの観察―
(有)DHAジャパン |
○ |
相川 雄弘 |
(株)桑山 |
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田中 隆行 |
真珠科学研究所 |
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矢崎 純子 |
一般講演 15
淡水貝の貝殻及び真珠に見られる色素の分泌リズムについての考察
(有)Jプランニング |
○ |
仁平 淳子 |
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仁平 絢子 |
真珠科学研究所 |
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田中 美帆 |
一般講演 16
真珠の耐汗性処理に関する研究開発
香川大学大学院 工学研究科 |
○ |
大久保 雄司 |
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小川 一文 |
一般講演 17
FE-ASEM観察:衝撃変成炭素、山口県産メノウ鉱物・赤金石・金雲母
山口大学 理工学部 ○三浦 保範
一日目の講演終了後、ホテルセントラーザ博多にて懇親会が開催されました。
講演会での緊張した雰囲気から開放されたせいか会場の雰囲気は終始和やかで、約2時間参加者は話し相手を見付けては鉱物の話しや久しぶりの再会での近況報告など食事や飲み物を取りながら思い思いそれぞれ楽しんでいました。
翌6月15日(日)には見学会が行われました。
見学地が離れているために今回はバスをチャーターし、総勢43名で午前中は九州大学箱崎地区の『高壮吉鉱物標本』を見学させて戴きました。『高壮吉鉱物標本』は大型で豪華な結晶標本を含むことで有名で、日本においては和田標本、若林標本とともに20世紀初期の3大コレクションの一つとされています。午後は国立博物館として東京・京都・奈良に次いで4番目に設立された大宰府にある『九州国立博物館』に向かいました。この博物館は『日本文化の形成をアジア史的観点から捉える』というコンセプトで造られており、アジア各国と日本との文化交流の歴史を、時代やテーマごとに5つのゾーンに分け展示しています。
生憎の雨でしたが、大宰府天満宮まではエスカレーターや動く歩道を完備したアクセストンネルがあるため、雨に濡れずに歩いて10分足らずで天満宮に辿りつけます。参加者の多くは博物館を見学した後、天満宮を参拝したようです。
高壮吉鉱物標本
九州国立博物館