Gemmy 137 号 「小売店様向け宝石の知識「アンティークジュエリー5」」
アンティークジュエリー・Antique Jewellery 5
アンティークジュエリー。それは、百年以上を経過して、なお光り輝きを失わずにいる宝石・貴金属の装身具、小物の美術工芸品、ウオッチ・クロックを含むジュエリーを指す。
職人たちが一点一点に精魂を込めた細工の精緻。今なお、わたくしたちにその素晴らしさと古きよき時代の息吹を伝え、感動を与えるアンティークジュエリー。その素晴らしいアンティークとの出会いの場として有名な二大美術品オークションがある。サザビーズとクリステイーズ。ここで世界中から価値を認められたアンティークが有能なオークショニア(競売人)の采配のもとに、お客の挙げるパドル(番号札)で競り落とされる。優雅で上品な独特な雰囲気の中、美術品と購入者の橋渡しが行われる。二大オークションハウスを案内しよう。
サザビーズ(Sotheby’s)は、ロンドンで書籍の売買をしていたサミュエル・ベーカーが、売主と買主が取引をする場を提供する目的で開催した古物のオークションから始まった。1778年にベーカーの甥、ジョン・サザビーが経営を引き継ぎ、多種のアンティークの取扱いを拡大していった。現在は世界35ヶ国に事務所を設け、18ヶ所で年間約750回以上のオークションを定期的に開催しています。オークションの取扱い分野は、宝石・貴金属ジュエリー、時計、絵画、版画、家具、陶磁器、古書などの美術品など多分野に及んでおり、世界最古の歴史的信用あるオークションハウスとして名声を博しています。
クリステイーズ(CHRISTIE’S)は、一方のオークションの雄として、240年の伝統と歴史を誇る世界的なオークション会社です。現在のオークションシステムは、商取引はオープンな場でフェアに行われるべきだという理念に基づき、イギリスを中心に18世紀末に普及しました。1776年にジェームス・クリスティーズによって創立されたクリスティーズは美術品専門のオークション会社として歴史は古く、世界40ヶ国に拠点を持っています。主なオークション分野は、宝飾装飾美術、西洋美術、東洋美術など、広い美術分野を取り扱っていて、とくに宝石・貴金属ジュエリー、ウオッチ・クロック、20世紀装飾美術(アールヌーボーなど)にも力を入れています。ロンドン、ニューヨーク、ジュネーブ、アムステルダム、香港などで年間500回のオークションを毎日のように開催しています。
この二大オークションでは、アンティークジュエリーの世界的逸品が競売され、そのニュースが世界中に報道されることがたびたびあるので記憶している人も多いでしょう。
とくに1990年前後バブル期には、日本人金持ちが、豪華な西欧ジュエリーや絵画を大枚のジャパン・マネーで競り落としたニュースが世界を駆け巡りました。
ここでアンティークジュエリーのオークションの参加方法について概略を説明しよう。
先ず、興味ある商品カテゴリーのオークション・カタログ定期購読の申し込みをオークションハウスに行う。宝石・貴金属・ジュエリー・時計製品に興味があれば、その旨申し込むと当該カタログが指定の宛先に送られてきます。カタログは各オークション開催毎に発行され、オークション開催日の約2週間前に直接ロンドンから郵送されます。
オークションでは、お客が直接作品を閲覧し、納得の上でのビット(入札)が販売条件となっており、オークション後のキャンセルは出来ません。オークションハウスは、作品についての問い合わせに対してコンディションなどの情報は現地から提供する。しかし購入はあくまでお客の自己責任となります。
ビット参加はお客または代理人が作品を直接閲覧することが条件であるが、オークションハウスが代行することもできる。但し、販売条件を了承済みが前提です。ビットは最高ビット価格の範囲内で出来る限り安く落札するように努めて入札する。オークション落札後、開催地のオークションハウスから請求書が届くので、現地通貨の海外電信送金で指定銀行口座へ支払う。請求金額は「落札価格+プレミアム(手数料)+該当する税金」の合計金額(オークション会場渡し価格)。なお参加者は、銀行照会が必要で、参加が適格か予め審査されます。
アンティークジュエリーをエステート(資産)として購入するのに、二大オークションハウスを利用することは有益な方法です。両社のオークションは誰でも参加できます。
「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊