Gemmy 134 号 「平成18年宝石学会「コパルの加熱実験レポート」」
コパルはこはくに比べて若い樹脂です。重合があまり進んでいないのでこはくに比べて比較的やわらかく、熱やアルコールなどに対する耐久性も低いといえます。しかし、コパルは昆虫など多くの包有物があるケースが多く、非常に興味深い宝石であるといえます。
昨年こはくの加熱実験についてレポートしましたが、今回はコパルについての加熱実験を行いました。
実験1
ごま油を使って180度で1分間加熱。ごま油は少し浸る程度に入れました。
結果
加熱して油に入っていた部分の表面は褐色になり、多くの気泡が出来ました。また中央付近にひび割れが発生しました。
実験2
ごま油を使って180度で5分間加熱。ごま油は完全に浸る程度に入れました。
結果
全体的に褐色になり、形も変形し、表面は溶けてデコボコになりました。
実験3
ごま油を使って200度で1分間加熱。ごま油は少し浸る程度に入れました。
結果
加熱した部分が非常に細かい気泡で白濁しています。また加熱していない部分でも少し気泡が発生しています。
実験4
サラダ油を用いて220℃で約1分、サラダ油は三分の一程度ひたるようにしました。
結果
加熱した部分は褐色になり、表面は溶けて変形し、デコボコになっています。
実験5
サラダ油を用いて220℃で約1分、サラダ油の中に浸るようにして加熱しました。
結果
全体に褐色になり、表面は溶けてデコボコになっています。
実験6
150℃で4時間、アルミホイルでくるんだ状態で、砂の中で加熱しました。
結果
外形は溶けてかなり変形し気泡が大変増えて、所々褐色になっている部分がありました。
実験7
200℃で1時間、アルミホイルでくるんだ状態で、砂の中で加熱しました。
結果
外形はさらに変形し、褐色がより濃くなりました。光沢も増したように見え、中の気泡は弾けてグリッター状になっていました。
以上が今回の実験の結果です。ある程度まで温度が上がると、溶けて変形します。また、加熱をすると気泡が増えグリッターのようになることもあります。加熱が進むと褐色が濃くなっていきます。
(注意)
今回の実験は十分安全な環境において行われております。個体によっては、内部の気泡等が加熱時に破裂し、やけどをおう恐れもありますので、決して真似をしないようお願いいたします。